「おいしい副業」は身を滅ぼすリスクをはらむ。自動車部品メーカー勤続30年の男性は、毎月手取り24万円のうち元妻に7万円を払っている。いまは中国人の妻と暮らしているが、家計の足しになればと「おいしい副業」に手を出し、あえなく“お縄”。コラムニストの北尾トロ氏がそんな「実話」を紹介する。

40代後半 真面目な会社員「ヤバい副業」でお縄

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先月(2017年8月)、商標法違反の初公判があったので法廷(東京地方裁判所)へ行ってみると、ビジネスマン風の男性が被告人席に座っていた(裁判時に40代後半であることがわかった)。白シャツにネクタイ、地味なパンツに革靴。表情は不安げで、心ここにあらずな感じから、保釈中かつ初犯と目星をつける。

特許庁によれば、商標とは、事業者が自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)。

<私たちは、商品を購入したりサービスを利用したりするとき、企業のマークや商品・サービスのネーミングである「商標」を一つの目印として選んでいます。そして、事業者が営業努力によって商品やサービスに対する消費者の信用を積み重ねることにより、商標に「信頼がおける」「安心して買える」といったブランドイメージがついていきます。このような、商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」を財産として守るのが「商標権」という知的財産権です>(特許庁のウェブサイトより抜粋)

となれば、事件内容は察しがつく。商標法違反の多くは、パロディー商品の製作や偽ブランド品の販売だからだ。ではこの男、具体的に何をやらかしたのか。

中国人の妻の里帰りに同行し仏高級ブランドのニセモノ購入

検察「被告人はフランスの○○の携帯ケースの類似品など偽ブランド品343点を所持し、一部を販売するなどして商標権を侵害し、現行犯逮捕されたものである」

被告人は共犯者である中国人の妻の里帰りに同行した際、偽ブランド品をいくつか購入。これをネットで販売したら儲かるのではと考え、その後、夫婦で1年間に5回も中国への仕入れ旅行を行ったという。