20万円以下でも侮ってはいけない
その道の専門家として評判が広まるなどすると、講演や原稿の依頼が舞い込み、思わぬ臨時収入を手にすることがある。そこで気になるのが、みんな正直にその所得を申告しているのだろうかということだ。
「そもそもサラリーマンの場合、給料や退職金以外の所得(下図参照)が20万円以下であれば、所得税についての申告は不要です。一方、臨時収入が20万円を超えた人がみんなきちんと申告しているかというと、その実態はわかりません。しかし、少なからぬ漏れがあると見るのが妥当でしょう」(税理士・高山弥生氏)
高山弥生税理士は、現状把握の難しさを指摘する。では申告しないほうが得するケースなら、ダンマリを決め込めば見落としてもらえるのだろうか。
「税務署は、雑誌やテレビを細かくチェックしています。今まで税務署からお尋ねがこなかったとしたら、それはたまたま、と考えたほうがいいでしょう。そして、なんといってもバレるきっかけは『支払調書』です。講演料や原稿料の場合、報酬を支払う側が同一人物に対し年5万円を超えて支払った場合には、税務署にその金額を報告しているわけです。特に今後は、マイナンバーによってしっかりと捕捉されます」(同)
しかも、マイナンバーの実績を上げるために、これまで取り逃していた講演料や原稿料にかかる税金は狙い打ちされるとの見方も出ている。
申告を怠る人の中には「源泉徴収されているのだから、税金を納めていないわけじゃない。見つかっても大目に見てくれるだろう」と高をくくる向きもあるのではないか。
「税務調査が入る前に、『忘れてました』と自主的に期限後申告すれば、無申告加算税は納付税額の5%ですみます。しかし、『無申告のまま』となると、罪はさらに重くなる。50万円以下なら15%、50万円超なら20%が加算されます。悪質な隠ぺいと判断されれば、さらに重い税が加算されます」(同)