1日だけ休みが取れたら、真っ先に「大山に行きたい」と思うんです。今から2年くらい前に、友人がこの街を案内してくれたのがきっかけ。酒場巡りがすごく楽しかったんです。
綾小路 翔
千葉県生まれ。1997年、ロックバンド氣志團を結成。以来、團長としてメーンボーカルを務め、今年で結成20周年を迎える。4月15日、16日に千葉県・幕張メッセにて“対戦型”フェスイベント「THE GREAT ROCK’N’ROLL SEKIGAHARA 2017」を開催予定。
なかでも感銘を受けたのが「ひなた」。ここのやきとんを食べたときは、初めてセックス・ピストルズを聴いたときのような衝撃を受けました。特に味噌味のレバー、これが最高に美味しくて。
ほかのメニューもすべてヤバいです。下町的なおつまみはもちろん、突然パテ・ド・カンパーニュなんかもあって、これがまた本格的な味。あと、お店のスタッフさんがみんな優しくて、温かい雰囲気なのもいい。店のすべてがまさに“いい感じ”なんですよね。
いざ大山に行くとなったら、仲間数名でコースを組んで、昼から飲み歩きます。「晩杯屋」もよく行く店の1つ。新鮮なアジのお刺身が150円、煮込みが130円。信じられないですよね。とにかくびっくりするほど安くて美味しい。アルコールの種類も豊富だし、ジョッキは基本500ミリリットル。いうなれば“おやじパラダイス”です。
都会に憧れて10代で上京してきた頃は、バイト漬けの毎日でお金もなく、チェーン店三昧でした。その後、氣志團でデビューして高級店に行く余裕ができたときは素直に嬉しかったなぁ。気合を入れて予約半年待ちのお寿司屋さんなんかにもよく行きました。
でも最近は、楽しみ方が変わりました。大山は、常連さんたちの酒の飲み方が粋で勉強になるし、なんというか男のロマンがある。この街で昼下がりから過ごす休日は、僕にとって頑張っている自分への一番のご褒美なんですよね。
氣志團は今年で結成20周年。思えば遠くへ来ましたね。もっと音楽性で認められたいとか、伝説になりたいとか、それなりに葛藤もありました。でもここ数年は、各界のトップをお招きして主催するロックフェス「氣志團万博」が楽しい。素晴らしい音楽でお客さんの笑顔が見られたら幸せで、自分たちが主役でなくても、どんな立ち位置でも全然構わないんです。
メーンディッシュに憧れたこともあった氣志團だけれど、今はどんな素材とも相性がよく、数多くの調理法がある“ニンニク”でいようと。人生、誰しも上ばかり向いてはいられないけど、下を向いたらいつだって俺たちがいる。辛いことや嫌なことがあったら氣志團のライブに行こう、そう思ってもらえたら最高です。