古田新太さん
1965年、兵庫県生まれ。劇団☆新感線の看板俳優。映画、テレビ、ラジオでも活躍し、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)、『警視庁ナシゴレン課』(EX)に出演。今年3~6月には、豊洲の新劇場「IHIステージアラウンド東京」のこけら落としで、劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season花に出演中。
最近、同世代の俳優が重宝がられているんです。言うことを聞くからかな(笑)。なかには「いや、俺はこう思うんですよ」っていう俳優さんもいらっしゃいますけど、おいらは違う。監督から「古田、それじゃないやつやってみて」って言われたら、すぐに違うものを提出します。「それでいこう」って言われるのが一番効率がいいでしょ。だから、演出家や監督の注文に応えられるように、いつもフラットな状態でいなきゃいけない。自分の中で熱くなっちゃうと、そうできなくなるから。なるべく棒読みで台詞を覚えていって、注文が出たときに応えられる状態にするようにしています。そのためには、浅くていいから、引き出しをたくさん持っておくことが大切なんです。
今年3月に豊洲にオープンした新劇場のこけら落としで、『髑髏城の七人』という舞台をやっています。おいらは刀鍛冶の役。いつも役づくりはしないです。相手役と会話をすることで出来上がっていくキャラクターがあると思うし、そのための稽古だと思っているので。
稽古のときに、毎日わざと演技を変えたりもするんですよ。それで最後の通し稽古のときに「あれがよかった」って言われたら、「じゃあ、それにしましょうか」って。ただ、亡くなった蜷川幸雄さんや野田秀樹さんとか、それを楽しんじゃう演出家もいる。本番に向けてそろそろ演技を固めていくっていう段階なのに、同じ演技をすると、蜷川さんなんかは「何さぼってんの。ダメだよ、おまえ。最後のリハーサルまで変えて俺を楽しませて」みたいなね(笑)。
おいらは演技もフラットだけど、店選びも「フラッと」(笑)。飛び込みで入っちゃうんですよ。
それで、おいしかったり、感じがよかったら、みんなを連れていきます。「きいろいはな」の魅力は、ママさんです。いつも優しくしてくれるし、芝居も見にきてくれる。パートナーが俳優・石山雄大さんだから、役者の苦労を知ってて、売れてない人に安くごはんを食べさせてくれたりして。新宿村スタジオで稽古をしている間の週1回くらいは通ってますね。
「チキンジョージ」は三茶の焼き鳥屋さんですが、そこの大将もすごく応援してくれて。おいらがレンコン好きなのでリクエストしたら、「あんかけレンコンもち」というオリジナルのメニューを作ってくれ、それが今は定番メニューになっています。世田谷パブリックシアターで舞台をやるときは、みんなを連れてよく行っています。