野宮真貴さん
1960年、北海道生まれ。ピチカート・ファイヴ3代目ヴォーカリスト。新著『赤い口紅があればいい~ いつでもいちばん美人に見えるテクニック』(幻冬舎)。新譜『男と女~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。』(ユニバーサル ミュージック)はオリコン&Billboard Japanジャズチャート1位で話題に。
今回、私が選んだお店は、あえて2店ともフレンチ。デビュー35周年を記念した『男と女~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。』というアルバムを出したのにひっかけて、という洒落もありますが、実際にシャンパンやワインを飲みながら美味しくいただくフレンチが大好きなんです。
どちらも夫がお蕎麦屋さんなど飲食店関係者から教えてもらいました。料理ジャンルは違っても、プロの目で選ばれているわけですから、信頼できる情報です。
「ルコック」は1年半前に知って、すでに何回か訪れました。家族と記念日に来ることが多いですね。結婚記念日にも来ましたし、20歳の息子も連れてきます。男性たちはお肉のほうが好きなようですが、私はどちらかというと魚介類が好きで、その日仕入れた新鮮な素材を生かした、こちらの魚料理はいつも楽しみです。
堅苦しくなく、居心地のいいお店ですが、それでも私はちょっとおしゃれをしていきます。そのほうがせっかくの特別な食事を楽しめると思うからです。さらに、こうしたお店に来るときは、息子にもきちんとした装いをさせます。カトラリーの使い方をはじめ、大きな声で騒がないなど、食事のマナーも小さな頃から教育してきました。家族みんなでおしゃれをして、食卓を囲んだおいしい食事は、家族全員の幸せな記憶になります。とても大切な時間です。
食べるという行為は生きる基本となるものですよね。できる限り、息子にはきれいな所作を身に付けさせ、食事を大切にしてほしいと思ってきました。おかげさまで今では、私よりも息子のほうがフォークやナイフの使い方が上手になりました(笑)。青春18きっぷで全国を旅して、おいしいものを食べ歩きするようになった息子を見ていると、「食育」してよかったなあ、と心から思います。
「プティバトー」はNHKにほど近く、仕事帰りにお邪魔することが多いです。シェフが一人で切り盛りされているカウンタースタイルのフレンチ。その日にシェフが厳選した素材を見せてくださって、メニューを相談してから目の前で調理してくれます。お客さんがいれば、夜12時ラストオーダーという貴重なお店でもあり、楽しく食べて飲んで、つい長居してしまい、時計を見てハッとすることもしばしば。シェフに申し訳ないと思いながら、また行ってしまいます。大人のプライベートタイムを豊かにしてくれる粋なお店です。