――ミュージカル『リトルマーメイド』が好評です。今回は、その中で巨大なタコとして登場する海の魔女「アースラ」と、その足役の皆さんにお集まりいただきました。足、と言っていいんでしょうか。
【青山弥生】「テンタクルス」と呼んでいます。「触手」という意味ですね。テンタクルスは6人いて、それぞれが1本の足を操っています。それに私の手の2本が加わって、全部で8本。それぞれに番号がついているんですよ。
【権頭雄太朗】僕が1番。右の前足担当です。
【高橋基史】2番です。右の真ん中ですね。左右後ろの2本、3番と4番が今日はいなくて。
【南圭祐】僕が5番。左の真ん中の足です。
【斎藤准一郎】そして僕が6番です。左の前足ですね。
――アースラ役である青山さんを中心に7人が一体となっていて、本当に生きているような動きに圧倒されました。
【青山】ありがとうございます。ブロードウェー生まれの『リトルマーメイド』は、オランダやロシアなどでも上演されているのですが、各国で演技指導をされているパペット(=人形)デザイナーのトビー・オリエが、私たちのアースラを「世界一だ!」と言ってくれました。アースラのシーンは、彼らテンタクルスのシーンだと思うのです。彼らなくしては絶対にありえない。
【一同】感激です(笑)。
【青山】でも、最初は1本の足を動かすだけでも大変だったわよね。
【斎藤】ウレタンでできているので、それほど重くはないんですが、1本の長さが2メートルちょっと。根元から足先まで1人で操りますからね、慣れるまでは大変でした。
【南】足には動かすための棒が何本かついているんですが、どの棒をどう動かすとどう見えるのか。どの棒とどの棒を持てばスムーズにいくのか。それがまた、自分が思っているように動いているのか。表情をつくるまでにはけっこう時間がかかりました。