――課題の多さに気力が萎(な)えることはなかったんですか?

【青山】それはね、トビーがテンタクルを操ると本当にすごくて、みんな「おお~っ!!」って、ね? 感動のほうが大きい。

【一同】そう! すごい。

【権頭】もう別物なんですよね。別世界の動き。

【斎藤】本当に生きているように見えるんです。

【南】彼のようにできるようになりたくて。だから練習は苦じゃありませんでした。

【青山】目標があったんでしょうね。当時から、世界一を目指していましたもん。

【斎藤】合言葉は「世界一」。

【権頭】トビーが「もっと、もっと」と期待してくれるのは、僕らにとっても嬉しいことでしたし。

【青山】目標を持つって大事よね。こうなりたいという目標があれば、それだけで頑張れますから。

――7人で一体のアースラですから、1人がズレてもいけないわけですよね。一瞬たりとも気を抜けないと思いますが、特に集中力を要する場面などはありますか。

【権頭】1幕の終わり近くに、アリエルに向かって「その声を」と言うシーンがあります。

【青山】アリエルに人間の足を与える代わりに、アースラがアリエルの声をもらうという大事な場面です。

【権頭】基本的にアースラの触手は常に動いているんですが、そのときのポーズだけは唯一、全員が止まってくれ、と言われているんです。みんなで一斉にピタッと止まる。一瞬なんですが、気持ちのいい緊張といいますか、集中しますね。

【斎藤】足は2メートルありますから、そのシーンの直前に根元のほうを持っていると、足先がなかなか止まらない。アースラさんのせりふのどのあたりで、触手のどこを持っていれば足先が止まるのか、研究しました。

【青山】一つ一つのシーンを完璧にするための事前準備って、大事よね。でもそれさえしておけば自信になる。たくさんお稽古するのも結局は自信をつけるため。自信を持てると、楽しめる。楽しいと集中力が途切れるなんてこともない。勉強でいうところの予習と復習よね。事前準備が予習で、お稽古が復習かしら。