Qがんで長生きするのは、どっち?
(A)早期発見、早期治療 (B)極力放置、闘わない

がんというと、激痛や壮絶な闘病生活を想像する人も多いだろう。しかし実際は、がんの痛みはモルヒネでコントロールできるし、亡くなる直前まで自立でき、意識もしっかりしている。芸能人ががんで亡くなったとき、「ついこの間まで元気だったのに」というコメントを聞いたことがあるはずだ。多くの人がイメージするがんの苦しみとは、実際にはがんそのものよりも、適切ではないがん治療によって与えられているのである。

だから私はがん患者がもっとも苦しまず、もっとも長生きできる方法ががんの放置だと考える。しかし、多くの病院では、健康診断などでがんが見つかった患者に対し、進行スピードをきちんと見極めることなく、「手術をしなければ余命は3カ月」だなどと宣告したりする。まるで脅迫だ。患者には治療が妥当なのかどうか判断がつかないから、言われるままに手術を受けてしまい、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を大幅に損なってしまう。私から言わせればそれはまったくの本末転倒だ。QOLを下げるような自覚症状がないのに、治療をしなければいけない理由がいったいどこにあるというのか。

(唐仁原俊博=構成 奥谷 仁=撮影)
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