医者は自分では絶対に避けるような多大な困難をともなう治療を患者に施術することがある。私たちは病気になって焦る前に考えておかなければならないことがあった。

※第一回「なぜ、医者は自分では受けない治療を施すのか」(http://president.jp/articles/-/15153

医者自身が病気になったら避けたい事例30

※複数医師への取材をもとにプレジデント編集部構成。「」内は、断りがない限り萬田緑平医師の発言。

【1】余命数カ月で尿管ステント
尿管に入れるチューブ。挿入後、チューブが詰まってしまうことがあり、数カ月ごとに入れ替える必要がある。「数カ月単位の延命ならば検討する」。

2話の要点がわからない医師
手術失敗など訴訟の俎上にのぼりやすい外科医と違い内科医は、治療・投薬と結果の因果関係が外科ほどはっきりしないので、治療の説明をより明確にすべき。

3疲労を蓄積・人工透析
腎臓が機能しなくなったときには必要な治療だが、週に3回、4時間かけて行うので精神的・肉体的疲労が大きい。「1年以上延命できるならば検討する」。

4拷問に近い・吸引
口の奥にチューブを入れて唾液や痰を吸引する。患者さんに苦痛を与えて咽せさせたところで痰を吸引する場合もある。「拷問に近い。絶対にやりたくない」。

590歳を超えたら病気を治さない
90歳で検査をすれば何かの病名がつくだろうが、治療のリスク、検査の負担も考慮し、よほどのこと以外は自宅でゆっくりしたほうが元気で長生きできるのではないか。

6急性疾患でない胃ろう
お腹に穴を開けてチューブで胃に栄養を入れるが、チューブをぶら下げずに済む。「急性疾患などで意識がはっきりしている状態ならお願いするかも」。

7軽い病気で大病院
少々の熱が出たぐらいで、大混雑する大病院にいくのは避けたほうがいい。近くのクリニックで十分だし、そこで何かが見つかればすぐに適切な病院を紹介してくれる。

8検査大好き病院
患者負担を考えず、不必要な検査を繰り返す。少なくとも、「第一の検査では、この部分がわからなかったので、次の検査をします」(内科医)といった明確な説明が必要だ。

9外科医の手が不器用、すぐキレる
全身麻酔をすると、手術室で何が起きているかはわからない。医者は自分が手術を受けるときは、信頼に足るか(手は不器用ではないか、すぐキレたりしないか)を下調べ。

10薬の量が杓子定規
たいして詳しく診察したわけでもないのに、やたらと出す薬が多い内科医がいる。患者の年齢や体質、病歴は千差万別。患者を正視しない思考放棄医師の危険性あり。