安倍政権を取り巻く世界情勢が、逆風に転じている。「ポスト安倍」候補の一人、石破茂前地方創生担当相と、気鋭の国際政治学者、三浦瑠麗氏が外交・安保から経済政策まで縦横無尽に語り合った。石破氏がトップを目指すうえで、これから党内でどのような立ち位置を考えているのか。また、最大派閥の清和会にどう対抗していくのか。全3回の対談連載、最後となる後編をお届けする――。

次の総理が目指すべき旗印となるものとは?

【三浦】ここまで安倍政権との“違い”をいかに出すかということでお話を伺ってきました。

【石破】そうでしたか。どこに地雷があるかわからない(笑)。

【三浦】トップを目指すうえで、これから党内でどのような立ち位置を考えていらっしゃるのか、教えてください。

【石破】そんな器用なことはこれからもできないと思います。ただ、たとえば予算委員会における歴代総理の答弁を、自分ならどう答えるかなと閣僚を務めている間は考えながらやってきました。小泉さんに2年、福田さんに1年、麻生さんに1年、安倍さんに2年、合わせて6年閣僚としてお仕えしましたが、それぞれに味がありました。私は、まったく知らない分野やビジョンが明確に持てない分野があるのは嫌なんです。そういうスタイルだから仕方がない。どこから問われても「基本的にはこう考えます」というところまでは自分で詰めていきたいと思っている。それがまず第一です。

それから仲間を増やしていく。最近は周りの人たちが心配してくれて、いろいろな人との会合をセットしてくれるんですが、「この人だったら一緒に日本を語りたい」「政治とは何かを語りたい」という人が会うごとに増えていくような気がしています。やはり共に日本を語るとか、政治を語る仲間を増やしていかないと。いくら偉そうなことを言っても、実現させるのは難しいのだと思います。

【三浦】今は最大野党は弱い状況ですけど、政権交代の圧力があって初めて党内に次は勝てる候補で臨もうという強い意思が醸成されると思います。今、党外で自民党の支配を覆しうるような人物はいますか?

【石破】日本を共に語ろう、政治を共に語ろうという意味では、自公以外では、私の知る限りではやはり民進党に何人かいますね。問題意識を共有できる人たちはいますよ。