奨学金の返済に苦しむ若者が急増するなか、注目を集めているのが、返済不要の「給付型奨学金」。受給のハードルは、どのくらい高いのか。

意外と穴場なのが自治体による「給付型」

奨学金の返済に苦しむ若者の急増が社会問題となるなか、注目を集めているのが、返済の必要のない「給付型奨学金」だ。地方自治体や民間団体によるものに加え、最近では有力な私立大学が、優秀な学生を集めるために導入する例が増えている。実際の受給のハードルは、どのくらい高いのか。

「各奨学金にはそれぞれのポリシーや目的に沿った、独自の選考基準が設けられています。最も大まかな分類は、特待生制度的な学力重視型か、経済支援に重きを置く家計重視型かということです」と言うのは、奨学金アドバイザーの久米忠史氏だ。

「一般論として、学力重視型の奨学金は、求める成績のレベルがかなり高めです。一方で家計重視型は、受験生の世帯収入が所定の条件に合えばいい。給付の受けやすさという観点からは家計重視型、とりわけ大学が独自に設けている『予約型』の給付奨学金が、採用人数が多くおすすめです」

予約型奨学金の代表例、早稲田大学の「めざせ!都の西北奨学金」の申込資格は、首都圏以外の高校等の出身者で、世帯収入が税込み800万円未満(給与所得の場合)であることなど。

高校の成績は問われない。受験前の書類選考で採用候補と認定され、入学試験に合格すれば、年額40万円の奨学金が4年間給付される。採用候補者数は約1200人と、同種の奨学金のなかでは飛び抜けて多い。

慶應義塾大学や上智大学、立教大学や法政大学などにも、同様に予約型の給付型奨学金制度がある。「これまで特待生制度的な奨学金が中心だった関西でも、いわゆる『関関同立』の有力4大学が相次いで予約型の給付型奨学金を導入しました。関東では専修大学も同様の制度を開始し、受験生にとっては選択肢が広がる傾向にあります。第一志望の大学にこの制度があるなら、積極的に出願していいと思います」と久米氏は言う。