品質、サービスはどんどん向上中

2015年12月、家計の通信費負担が過去10年間で約2割増えているとして、高市早苗総務相が大手キャリアに値下げを要請したのは記憶に新しい。だが、ライトユーザー向けのプランが出るなど動きはあるものの、劇的な変化はない。

そんな中、注目されているのがMVNOと呼ばれる自社の通信設備を持たない格安スマホキャリアだ。2015年夏、1GBで1000円程度だった通信料の相場が、3GBで1000円となり、相対的な価格は3分の1になった。

「総務省の統計によると、大手キャリアからの通信回線のレンタル料金は、8年前は月額1200万円だったのが、現在では100万円前後になり、約9割下がっているのが現状です」と話すのは、生活経済研究所長野の研究員である滝沢翔吾氏。MVNOは、大手キャリアから通信回線を借りて運営するため、レンタル料金がユーザーの利用料金に直結する。そのため、数年前に比べるとまさに「格安」と呼ぶにふさわしい料金まで下がっているという。

「しかし、徐々に値下げの勢いも緩やかになり、このあたりが頭打ち。今後は価格面以外での競争も激化し、乗り換えの検討価値はさらに高まるでしょう」

MVNOに乗り換えて得をするかは通話時間が前提になる。

例えば、通話かけ放題のある大手は5GBで月5000円。基本使用料等合わせると最低でも月8000円となる。一方、通話は従量制のMVNOは5GB約2000円前後が多く、平均的な月68分の通話をしても4500円程度。3500円もの差がある。仮に通話をまったくしなければ2000円だけで済み、6000円浮く計算だ。

「安くなるかどうかは月の通話時間で判断。153分未満ならMVNOのほうが安くなり、これを超えても楽天モバイルのような定額通話プランで料金を抑えられます」

それでは、品質面はどうか。

「大手キャリアの電話回線を使っているため音声品質は同じもの。まったく問題ありません」