「世界女傑名簿」があったら、来年は誰が頂点にいるかという問いから本書は始まる。長年米国政治や外交・安保を追いかけてきた著者の知見を活かしつつ、ヒラリーが大統領になればどのような政策が展開され、どのような米国が訪れるのかを検討した本だ。

本書に賛成する点は多い。政治の戦いを恐れない戦略的な女性という人物像の一方で、家庭人としての顔とリーダーとしての顔をどのように融合するかが最大の挑戦であった、という分析も頷ける。他方、古き良き主婦像、バーバラ・ブッシュをヒラリーが部分的にせよ目指したとの分析には疑問が残る。それでも彼女が単に「男になる」のではなく、女性性を残したリーダー像を模索していたのは確かだろう。

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