自らの願望でしかないトンチンカンな予測

「トランプ当選は予想外だった。メディアはヒラリーが勝つと言っていたのに……」。日本人の多くや安倍晋三総理はそう思ったのではなかろうか。

「トランプは絶対に負ける」。そう信じて疑わなかった有識者たちの煽動によって、多くのメディア、外務省、官邸は判断を誤った。早期にトランプとの会談を実現させた安倍総理の果敢なリカバーによって事なきを得たかのようにも見えるが、トランプ惨敗を予想した識者は、NHKの討論番組も含め、出演を続けている。予測を外したことに反省の言葉は一切なく、一部有識者のように「自分は予測を行っていたつもりはない」と居直る人物まで現れる始末だ。有識者の予測は日本の外交政策に影響を与える可能性があり、大きな責任がともなう。

写真はNHKホームページより、藤原帰一氏出演時のもの。

有識者が予測を外したのは「世論調査のせいだ」というが、本当だろうか。大統領選挙中の統計データは、接戦州でヒラリーとトランプの差は誤差の範囲内であった。また、トランプ支持者の大半は高所得者で、有識者が垂れ流していた白人労働者不満層を強調する分析は事実を正確に反映していないことも明らかだった。さらに、投票終了後の各人の得票数や出口調査の内容を見る限りは、「隠れトランプ」と呼ばれる「トランプ支持だが、それを公言しない有権者」の影響を考慮したとしても、実際にはオバマに投票してきた民主党支持者が投票を棄権した影響が大きかったことがわかる。予測も間違え、予測を外した分析もトンチンカン。こんな人たちがわが国の有識者として、これからも提言を続けていこうというのだから恐ろしい。

今回、トランプ敗北を予測した有識者たちに、予測を外した理由、現在の見解を、メールとFAXで問うた。