かつてないほど世界中の注目を集めた米大統領選が終了した。選挙中は「政治経験ゼロのトランプ氏が米大統領になれば、米国の経済は崩壊する」などとも言われていたが、実際はどうなのか。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は次のように語る。
「たしかに、トランプ氏の当選が濃厚となったとき、一時は1ドル101円台まで円高ドル安が進み、日経平均も1万6111円と、前日の終値から1000円超の下落を見せました。日経平均の下げ幅が1000円を超すのは、イギリスのEU離脱が決まった6月24日以来のこと。やはり、トランプ大統領の誕生にはそれくらいのショックがあったということでしょう。しかし、その後状況は一転。トランプ氏の当選確定後は、5カ月半ぶりに1ドル110円台の円安に。日経平均も今年1月以来の1万8000円台を記録しました。米国でもNYダウ平均株価が前日比256.95ドル高の1万8589.69ドルの終値に。これは2カ月半ぶりの高い水準です。私が思うに、この結果はトランプ氏の『勝利宣言』の内容が『意外とまとも』だったからではないでしょうか。もちろん、新大統領誕生時に一時的に景気がよくなり、翌年下がる……というのは恒例の動きなので、この状態が長続きするとは思いません。ですが、トランプ氏が標榜する政策を見る限り、投資家にとって悪いものではありません。政治経験がないことで、投資家が嫌う『不確実性』というリスクは依然としてありますが、彼のビジネスマンとしての手腕には期待できるのではないでしょうか」