こと京都の山田敏之代表は、九条ねぎを中核に白ねぎ、京野菜などにも事業領域を広げつつある。市場価格に翻弄されがちな農業経営を安定させるために、あの手、この手を考えている。販路の拡大や、補助金との向き合い方、組織形態と人材の育成と、より実践的な経営論が展開される。
卸相場に一喜一憂しない体質
――多くの農業経営者は、品目ごとのポートフォリオに頭を悩ませています。価格の変動に対して耐性をつけたいと苦労しています。たとえば収益を安定させるための、ねぎと京野菜の売り上げバランスについてはどうお考えでしょう。
【山田】私は、ねぎに関しては一切悩んでないですけどね。京野菜は、別会社で扱っているので完全に切り分けています。バランス云々ではないです。京野菜は売れる物なのに、物がないから売っていないのが現状。それを売りやすくする。販売方法は熟考中ですが、グラムいくら、キロいくらで売るのではなく、1メニュー・1単価みたいなイメージです。
たとえば、賀茂茄子なら店で火を通して田楽で出せば700円ぐらい取るじゃないですか。だったら火を通す前の賀茂茄子を皿に盛って150円で売るとかね。キロいくらではなく、1商品、1パックで売ろうかなと思ってます。
――なるほど、重さではない勝負に持ち込むのですね。
【山田】加工して冷凍にしますから、すぐそのメニューがつくれる形にして渡せます。京野菜はまったく違う領域になってくるでしょうね。
――おもしろいですねぇ。ほかのみなさんは、卸売り相場の乱高下に一喜一憂していますよ。
【山田】注目すべきは出口とも言える消費価格なんです。市場の価格は変動しますが、実際、卸商が実需者に年平均いくらで売っているのかという単価が一番のポイントで、どう調べるかです。そこを押さえて安定的に供給すれば、市場の変動に惑わされなくていい。