結成10周年を迎えたテクノポップユニット――。2010年、Perfumeは東京ドーム公演を開催しました。それは、僕がはじめてPerfumeの仕事に関わったライブでもあります。

デザインした人 メディアアーティスト/デザイナー 真鍋大度

もともとPerfumeのファンだった僕は、07年からライブ演出やミュージックビデオのデモ映像を作っては、「演出を手がけたい」とアプローチし続けていました。でも、なかなか声はかからなかった。僕らの手がける「メディアアート」という領域は、新しい技術を用いて表現を生み出すもの。今思えば、当時はこの技術力を押し付けすぎていたのだと思います。

それが東京ドーム公演からPerfumeの演出を担当するMIKIKOさんの技術サポートとして参加させてもらうことになりました。去年、アメリカのテキサス州で実施される世界的なイベント「サウスバイサウスウエスト(SXSW)」にPerfumeの出演が決まったときは単純に嬉しかった。どうすれば世界中の人たちにPerfumeの素晴らしさを伝えられるかを考えていきました。

Perfumeの一番の魅力はハイレベルなダンスをライブでも正確に踊り切れること。このダンスの凄みを十分に伝えるために、「3Dスキャン」や「モーションキャプチャ」を用いました。これらの技術を使って彼女たちが踊っている姿をリアルタイムで取り込んで加工し、ステージ上に設置した半透明のスクリーンに映し出した。ライブを観ているお客さんの目の前には、ダンスをするPerfumeの姿と、その姿をリアルタイムで加工した映像が、行ったり来たりします。ライブでの現実世界のパフォーマンスと、スクリーンに映し出される仮想世界でのパフォーマンスを一致させ、その境目をなくす効果を狙いました。