「出演者」のときも幹事役のときも心がけているのは、時間厳守。
「5分の予定の出し物なら、きっちり5分で。時間がかかる割に盛り上がらない、ビンゴやクイズはNGです。終了予定時間の30分前には、締めの挨拶が済むように。宴会をするお店は日頃のお客様ですから、ご迷惑はかけられません」。
一方、宴席の話術で攻めるのが、サッポロビール西東京支店の佐藤国夫さんだ。とはいえ社内宴会の場合、あまりその力を発揮する必要はないとか。「そもそも、ビール会社の宴会が盛り上がらないことは皆無ですから(笑)」。
社外との宴席は、結局仕事の話になることも多い。そこで必要なのは「事前準備と勇気」だと、佐藤さんは言う。店舗経営の悩み相談にすぐ答えられるよう、店やオーナーのフェイスブックを日頃からチェックし、食材や新メニューを含む「売る仕組み」のアイデアを考える。店舗用の不動産物件にも、アンテナを張っておく。
そうした準備をしたうえで、相手の要望に勇気をもって踏み込む。
「少しお酒が入ったときの会話にはとくに、『あなたに知ってほしい、協力してほしい』というメッセージが必ずあります。それを聞き逃さずに受け取ることが大切です。わからないことは、率直に先方に尋ねます」。相手7、自分3ぐらいの割合で聞き役に回るのが、話を弾ませるコツだとか。
「異動直後、新しい上司から『フレアの永谷君だよね』と声をかけられた」(永谷さん)、「アサヒのダンスの人と、一発で覚えていただいた」(宇都宮さん)、「転勤後すぐ、オーナーに気に入ってもらえ大型の取引に成功」(佐藤さん)――。宴会名人は、仕事にも強い。これからの忘年会・新年会を機に、さっそく練習を始めてみては。
(遠藤素子=撮影)