「次」がある飲みと、ない飲みの違いは何か

酒席は、酒場を舞台に、酒という小道具を用いた「ライブ」です。23年間のバーテンダー人生で、延べ80万人のお客様に接していますが、目的、ゲストとホストの関係など千差万別で、1度として同じライブはありません。

最近、お酒を召し上がらない方が増えています。だからといって、酒席を遠ざけてしまうのは、ビジネスマンとして、人間として、成長のチャンスを逃してしまう。残念なことです。

ある管理職の常連様は「いつかは部下がお客様をエスコートするポジションになるが、酒場の使い方を知らないようではお客様に失礼。とても任せられない」と嘆いておられました。

昔のような無茶な飲み方はなくなっており、恐れる必要はありません。しかも酒席は毎回異なるライブ。若い方も、下戸の方も、女性の方も、経験値を高めれば素敵なライブを演出することは可能です。

最近、私は就活や婚活になぞらえて、「酒活(さけかつ)」を提唱しています。コミュニケーション・ツールとして積極的に酒活し、チャンスや人間としての幅を広げていただきたいからです。

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減り続ける交際費をどう活かすか?

ゲストを迎えるホストの基本は、「心遣い」です。これは社内、接待、異性といったいずれの酒活にも共通します。たとえば接待なら、会社と会社を代表してお話しすることになります。ゲストの好みに合わせ、舞台を設定し、趣味や他愛のない話から心をつなげていく。話のはずみ具合で、カウンターの中の私にも「気持ちよく話しているな」「残念ながら次の機会はないな」というのはわかります。

秘訣は、聞き上手に徹すること。「そうなんですか」「へえ、すごいですね」と上手に相槌を入れられれば、ゲストも乗ってきます。その中から、どんな話をしたがっているのか「心の声」を聞く。そして、ここぞというときにインパクトのある言葉をかけ、アピールする。

たとえ1時間の酒席でも、ストライクを投げる機会は必ずあります。「すっかり君に飲まされちゃったよ」「また飲みましょう」という言葉が出れば、ストライクを投げた証拠です。