ゲストの機嫌を損ねる場面で共通するのは、ゲストの気持ちを掴み損ねること。たとえば、まだゲストが話したいのに、ホストが自分の都合で「そろそろお時間が……」と打ち切ってしまう。するとゲストは「自分の話したいことが話せない」と不満が残ります。これでは次につながりません。

下戸の方も、心配無用です。いきなり「ウーロン茶」を注文すると場が白けますが、サラトガクーラーなどのノンアルコールカクテルを注文する。これならゲストに気を使わせません。

事前に打ち合わせに来られ、「僕がジントニックと注文しても、ジンは入れないで」とおっしゃる方もいます。バーテンダーは単にお酒をつくるのではなく、楽しい時間を過ごすためのお手伝いをするのが仕事。いくらでも協力します。バーテンダーや酒場を味方にしてください。

女性が同席する際は、立場にかかわらず「さりげないレディファースト」を心がけましょう。食べ物や帰りの時間にも気遣いをする。普段とのギャップを見せるのも効果的ですが、過度にへりくだっては逆効果。ちらりで十分です。

最近は女性が、ビジネスでも重要なポストに就く例が増えています。普段の女子会なら和気あいあいで結構ですが、男性をもてなす機会もあるでしょう。ある女性社長は、バーテンも顔負けの心遣いをします。1歩引いて、ジェントルマンファーストに徹し、車やお土産の用意も絶妙のタイミング。かっこよく、スマートです。

正しい酒活は、相手が誰であれ、自分と時間を共有していただいていることに感謝する気持ちが重要。他者を尊重できれば、素晴らしい酒席を演出できます。サーバントリーダーシップなどビジネスにも生きると思います。

マスターバーテンダー 古澤孝之 
1968年、大阪府生まれ。89年リーガロイヤルホテルに入社しバーテンダーに。2002年には異例の早さでマネジャーに昇進。著書に『カウンターの中から見えた「出世酒」の法則』がある。
(構成=山本雅則 撮影=掛川雅也)
【関連記事】
酔った勢いでおさわりはどこまでOKか
権力を握る人は、部下とどんな飲み方をするか
必ずウケる接待、嫌われる接待
男の嫉妬は、なぜ女の呪いの100倍怖いか
銀座ママの証言「エラくなる男の共通点」