人生を楽しく過ごすためには、何が必要なのか。一橋大学名誉教授の野口悠紀雄さんは「私の場合、定年退職のタイミングで高校の同窓会が増えた。シニア世代こそ学生時代の友人と関わることが大切だが、集まりでは避けたほうがいい『2つの話題』がある」という――。

※本稿は、野口悠紀雄『83歳、いま何より勉強が楽しい』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

ワインの試飲会で乾杯する人々のグループ
写真=iStock.com/Hispanolistic
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コロナ禍をきっかけに「Zoom同窓会」が始まる

高齢者は、人との関わりを、どのような形であれ、持ち続けることが非常に大事です。人間とのコミュニケーションが精神衛生の上で最も優れたものであることは間違いありません。勉強ということだけを考えても、一人で勉強するだけでなく、話し相手があるほうがよいことは、間違いありません。

ところで、いま、Zoomなどのテレビ会議を用いて、簡単に話し合うことができるようになっています。これは、在宅勤務の手段としてだけでなく、高齢者のコミュニケーションについても、重要な意味をもっているのです。

メタバースがもっと手軽に使えるようになれば、それを使うことも考えられます。ただし、漫画のキャラクターのようなアバターになるのは気が進みませんが……。

私は、高校同期生の集まりをZoomで続けています。この集まりは、もともとは月に一回、私が早稲田大学でやっていた公開特別講義に同期生にも来てもらって、講義の後に食事会をやっていたのですが、コロナ禍で公開講義ができなくなったので、Zoomに移行したのです。

「隔週土曜、30分間」だから100回も続く

頻度は、リアルミーティングの時より増えて、隔週土曜となりました。19時から30分間やっています。すでに100回を超えました。1時間になるとかなりの負担ですが、30分だから参加できます。参加は10人ぐらいです。あまり多いと、議論ができなくなるので、この程度の規模が適当かと思います。

実際に集まるよりは、ずっと簡単に集まることができます。われわれのグループのミーティングの頻度がリアルなミーティングの時よりも増えたのは、そのためです。ただし、Zoomミーティングでは、会議を設定する運営役が必要です。

会場を準備したりする必要はありませんが、定められた時間に必ず開催しなければならないので、大変です。実際やってみればよく分かりますが、例えば急に体の調子が悪くなったとしても、予定されていた時間に会議を開く必要があります。

幸いなことに、われわれのグループには、そうした仕事を進んで引き受けてくれるメンバーがいるので、集まりを継続することができています。

最初は私もやっていましたが、彼が引き継いでくれました。彼が忙しいときは、もう一人の友人が担当します。これは、とても有難いことです。

なお、私の高校の同期生では、他にもグループができています。こちらは、海外に在留中のメンバーも含めて、全世界的な集まりをやっています。海外メンバーとの時差の調整が大変なようです。こうした集まりは、つい数年前までは、想像もつかないものでした。