定年後、話し相手がいない状況にならないために

これは、コロナによって後押しされた側面があります。実際に会うことが難しいからです。非常にゆるいつながり、つまり、自由なネットワークが形成されていると感じています。Zoomミーティングは、コロナがもたらした唯一のよいことだったと思います。『21世紀の日本』で想像していたミディアムコミュニケーションが、実現しつつあると感じます。

人間は、さまざまな面で、一人では、あるいは家族だけでは、生きることができません。会社勤めをしている間は、会社というコミュニティに一日中浸からざるを得ないのですが、退職した途端に、急に社会とのつながりを切られてしまう人が多いのではないかと思います。

学生時代のグループが、さまざまな意味で、集まるには一番よいのではないかと思います。ただし私たちも、卒業以来ずっと同窓会を続けてきたわけではありません。これを始めたのは、退職後のことです。

働いているときは、組織内の過度なコミュニケーションの中で生活しているので、それ以上のつながりを求める気持ちはなかなか湧きません。学生時代の友人とのつながりも、それほど持ちたいという気持ちにはなりません。

退職後になって、学生時代の友人たちとのミーティングを復活できれば、最高のグループができます。

歳をとると同窓会が増える理由

私は、「同窓会に関する2つの法則」というものがあると思っています。

第1法則は、「(ある歳までは)メンバーが歳をとるほど、同窓会の頻度が増す」というものです。

私の高校の場合について言いますと、まず、公式のクラス会が、コロナ前には、毎年開かれていました。ところが、これは10年ほど前からのことであり、それまではこれほど頻繁ではありませんでした。実際、30代から50代の年齢の頃には、ほとんどなかったのです。

このほかに、クラス会ではない同級生の集まりがあります。メンバーはクラスをまたがっているし、クラスの全員というわけでもありません。また、地域別の会というのもあるようです。

歳をとると、なぜ同窓会が増えるのでしょうか? 理由はいくつかあります。

第1は、自由な時間ができるからです。日々の仕事に追い回されなくなります。30代から50代では、クラス会に参加しようとしても、時間がない場合が多いのです。

もう一つ理由があります。それは、ライバル意識がなくなることです。仕事とのつながりをこうした集まりに求める人もいなくなります。まさに、君子の交わりになるわけです。

古い日本の小学校の教室
写真=iStock.com/blew_i
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