話すテーマは時事問題がいい理由
あとで述べるように、同窓会は高齢者にとって重要な役割を果たしていますが、実際に集まるのはそれほど簡単なことではありません。会場の設定などが大変な手続きです。少人数で集まるにしても、実際の集まりでは、そう簡単なことではありません。
Zoomのミーティングは、こうした面倒な手続きがなく気軽に集まれるものです。ぜひ実行されることをお勧めします。
オフラインの会合はもちろんよいのですが、それはなかなか難しいものです。しかし、オンラインは比較的簡単に行え、自由に進められ、時間もあまり必要としません。ですから、まずはオンラインでのつながりを何とか形成することが大切です。
私たちの集まりでは、テーマを決めているわけではなく、その時々のことを、思いつくままに話し合っているだけです。
ただ、時事問題がテーマになることが多く、リアルなミーティングのときよりも、時事問題を話すことが多くなったように思います。
ここでの会話のために、時事問題を勉強することもあります。話題になったことについて何も知らないと恥ずかしいので、新聞を読んで事前に学習するようにしています。30分だけでは議論が終わらず、延長戦をメールでやることもあります。これも、なかなか楽しいものです。
シニア世代は「ミディアムコミュニケーション」を心がける
こうした集まりを持つことは、シニアにとって大変重要だと思います。一人で勉強していてもつまらない。人間は、どうしても「聞き手」が必要な動物です。聞き手がいれば、勉強するのに目的ができます。誰かが賛同してくれたり、感心してくれたりすれば、もっと勉強する意欲が湧きます。
われわれの世代は、体質的にSNSに馴染めません。しかし、友人同士のオンラインでの連絡は、われわれに合っているようです。一対一のメールではなく、またマスメディアでもなく、「ミディアムコミュニケーション」といえるものが形成されたのです。
私は、1968年に刊行した『21世紀の日本』(東洋経済新報社:共著)で、「ミディアムコミュニケーション」という考えを提唱しました。大規模なマスコミュニケーションでなく、ミニコミュニケーション(家族などのコミュニケーション)でもなく、中規模なコミュニティが重要であるという考えです。
ITの進歩によって、この考えが現実に可能となりました。問題は、それをどのような形で実現するかです。本章で述べるようなことが、大きな可能性を示していると考えます。