決済アプリの統合には巨額の投資が必要
楽天グループには決済アプリが3つあります。楽天ポイント、楽天ペイ、そして楽天Edyです。このなかで、楽天ポイントカードアプリと楽天ペイアプリを統合し、その後、楽天Edyも統合することが発表されました。3つのキャッシュレス決済を一つのアプリで完結できるようにして利用者の利便性を高める方針のようです。
そこで読者の皆さんにクイズです。この統合は楽天グループにとっては大きな戦略価値があるのですが、いったいどうやって儲けが増えるのでしょうか?
これは実は簡単なクイズではないんです。ユーザーの利便性を上げることで利用が増えるとしても、異なる3つのアプリを統合しようとすると裏側のシステム投資額は莫大な金額になります。
決済アプリは金融システムなので安全性が求められます。銀行がシステム改修に数十億円の投資がかかるのと同じようなレベルの投資になります。楽天モバイルの赤字が大変な時期に、なぜわざわざ巨額な投資が必要となるアプリの統合に投資をするのか? これがこのクイズのひとつめの謎です。
統合によって楽天はどう儲かるのか
もうひとつの謎は「そうやって統合することでどう儲かるのか?」についてのメカニズムです。たとえば携帯電話なら「ゼロ円で契約しても、その後24カ月の通信料で儲けられる」といった形で儲けにつながるビジネスモデルは明確です。
TikTokを友人に招待してもらい、毎日指示された簡単なタスクをこなしていくとびっくりするほどの金額のポイントがタダでもらえます。これもビジネスモデルとしては、そうやって新規ユーザーがTikTokの画面を毎日見るようになると、TikTokに広告収入がたくさん入るようになるというビジネスモデルが裏にあります。
では楽天が決済アプリを統合することで、なぜ楽天は儲かるのでしょうか? これがクイズの2番目の謎なのですが、この謎に答えるのが実は簡単ではありません。なぜならこの謎は普通の経済学では説明できない話だからです。この記事ではまず先に2番目の謎から解説していきたいと思います。