Vポイントのアプリ統合が非常にうまい
4月22日にVポイントはTポイントと統合して新Vポイントが始まりましたが、これまでポイント経済圏の5位グループだったこのVポイント陣営は、Tポイントとの統合後に躍進する可能性がある。それがセブンなどコンビニでの7%還元と、SBI証券の新NISAでのVポイント付与・運用というふたつの新たな入り口から始まるのです。
そして行動経済学的に表現すると、このVポイントのアプリの統合のされ方が非常にうまくできているのです。SBI証券だけでなく三井住友カード、三井住友銀行、住友生命などのサービスが組み合わされてコンビニでは最大20%まで還元率が上がります。
その支払はiPhoneの場合はサイドボタンを2クリックすれば決済画面が立ち上がります。とにかく統合されたアプリのユーザーインターフェイスがうまくできているのです。
アプリの使いやすさが楽天の金融ビジネスの成否を決める
この新しい敵を目の前にすると、楽天がやるべきことは楽天ポイント、楽天ペイ、楽天Edyの統合に加えて、楽天証券での新NISAやポイント運用と、楽天カード、楽天銀行のサービスをどうアプリ上で統合し、どう心理的に自然に使えるように仕向けてくかが主戦場になることがわかります。
つまり楽天市場でのポイント利用が増えるような世界観ではなく、証券、カード、銀行を含めた一大統合市場での儲けがどうなるかに戦場が移りつつあるのです。だからそれにかかる投資が巨額でもいい。逆に言えばプロジェクトの範囲がそれくらい広くなければ今回のようなアプリ統合を考える必要もないわけです。
結論をまとめると、楽天の決済3アプリ統合が決行される理由は、その戦略意図が楽天の金融ビジネスすべての統合につながる大きな図面だからで、その成否を左右することは心理的なアプリの使いやすさ次第だということなのです。