M7から「エヌビディア、アマゾン、メタ、マイクロソフト」へ
足許の米国株式市場で、これまで主役を演じてきた“マグニフィセント・セブン〔壮大な7社=テスラ、アップル、アルファベット(グーグル親会社)、エヌビディア、アマゾン、メタ、マイクロソフト〕”から、テスラ、アップル、アルファベットの3社が脱落しつつある。残りの4社を称して“ファビュラス4”という。マグニフィセント・セブンからファビュラス4へ、世界の投資家の注目は移っている。
テスラは中国EVメーカーとの競争激化、EV販売鈍化などの懸念が高まった。アップルは生成AI関連事業において、マイクロソフトなどに後れをとった。米国と欧州委員会のIT関連政策・規制もアップル、グーグルなどに逆風だ。これらの3社の株価動向は、目に見えて鈍くなっている。投資家の目が慣れ始めている証拠だ。
世界的にカネ余りが残っていることもあり、当面、ファビュラス4への資金流入は続くだろう。ただ、米国株全体の割高感は強い。今後、米金利やAI関連の有力企業の事業展開次第で主要銘柄の株価上昇が鈍化すると、世界的に株式市場が不安定化することが懸念される。そのリスクは頭に入れておいたほうがよい。
米国経済の強さを象徴する7企業だったが…
足許の世界経済は米国の一人勝ちの様相だ。賃金は高止まりしており、個人消費はしっかりしている。総じて、米国の経済は大方の経済の専門家が想像した以上に良い状態を維持している。ある意味、米国経済の強さを象徴する存在が、株式市場の象徴であるマグニフィセント・セブンだった。
半導体の設計開発を行うエヌビディア、iPhoneのヒットを実現したアップル、EVメーカーのテスラなど、ビジネスモデルは異なるが、いずれも成長期待の高い分野で高いシェアを持つ。年初以降、一時は年6回の利下げを予想する投資家も増加した。金利上昇に一服感が出て、株式市場への資金流入は加速した。
高い利得を求め、主要投資家はエヌビディアなど成長期待の高い銘柄に資金を投じた。3月、S&P500インデックスは最高値を更新した。株価上昇による資産効果は米国の消費者心理を支え、緩やかな景気の拡大が続いた。