ネット通販でAIの実装を目指すアマゾン

マイクロソフトはオープンAIとの協業を強化することで、“アジュール・オープンAI・サービス”の需要増加につなげた。オープンAIと共同で、最大で1000億ドル(15兆円)規模のデータセンターの建設を計画するなど、生成AI関連分野で高い成長を目指す。そうした期待から株価は上昇し、3月末時点で米国最大の時価総額にまで成長した。

アマゾンも、自社開発したLLMである“Amazon Titan”を使ったAI事業の強化に集中しはじめた。その一例として、同社はネット通販などのプラットフォームに生成AIを実装し、出店者がより魅力的なマーケティングを行ったり、潜在的な消費者の需要をつかみとったりするサービスにつなげようとしている。

スマホでアプリを表示している人の手元
写真=iStock.com/Marco Di Benedetto
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メタも、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が、AI事業の強化を明確に示し成長期待は高まった。ただ、アップル、グーグル同様、欧州委員会はメタに対する調査も開始した。調査の結果次第では、欧州委員会が巨額の制裁金の支払いを命じる恐れもある。

ファビュラス4の間でも競争は激化する

当面、ファビュラス4への資金流入は続くだろう。米国など世界の金融市場でカネ余り状況は残っている。3月の連邦公開市場委員会(FOMC)は、2024年に0.25ポイント刻みで3回の利下げを行う従来の金融政策の運営見通しを維持した。

ユーロ圏では、利下げの必要性に言及する欧州中央銀行(ECB)関係者が増えた。それは成長期待の高い米国株への資金流入を支えるだろう。米国やユーロ圏では信用格付けが低い(投資適格級未満、BB格以下)のジャンク債の価格も上昇傾向にある。投資家のリスク選好の姿勢が急激に悪化することは考えづらい。

ただ、少し長い目で見ると、ファビュラス4にも投資家の選別が及ぶ可能性はある。今年3月末時点で、ナスダック100インデックスの予想PER(株価収益率)は27倍と割高感は強い。ファビュラス4といえど、上昇が永久に続くことはない。特に、メタに関しては欧州委員会の調査次第で業績にかなりの影響が出るはずだ。