医療費が少なくすむ、健康的な生活はどうすれば送れるか。精神科医の保坂隆さんは「糖尿病になる人の数は、年齢とともに増加するが、糖質の量はあまり意識していない人が多い。例えば蕎麦は一見すると淡泊でいかにもヘルシーだが、実際には豚肉の564倍もの糖質がある。医療費が少なくて済む生活を実現するには、スーパーで食品を買う際に食品成分表の糖質・炭水化物の量をみるといい」という――。

※本稿は、保坂隆『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

ざるそば
写真=iStock.com/key05
※写真はイメージです

老いの兆しを感じたら、「腹八分目」、さらには「腹六分目」で

食事は「腹八分目」を心がける。これは成長期を除いて、年代を問わない健康の鉄則です。

厚生労働省の「年齢別基礎代謝基準値と基礎代謝量(平均値)」によると、50~69歳の1日の基礎代謝量は男性で1400kcal、女性で1100kcal。70歳以上になると男性は1290kcal、女性は1020kcal。ちなみに30~49歳では男性は1530kcal、女性は1150kcalです。

シニア世代からは「若い頃のように食べられなくなった」という声をよく聞きますが、基礎代謝量の低下にともなって、体が自然に働かせる調節機能の結果といえるでしょう。いってみれば自然現象です。食べる量が激減でもしない限りは、特段、心配することではありません。

さらにいえば、運動量も減ってくるのですから、老いの兆しを感じる年代になったら、「腹八分目」、さらには「腹六分目」くらいで十分と感じるのが自然ではないでしょうか。

それなのに、年齢を重ねても食事量はそう減っていない人が少なからずいるようです。

その大きな理由のひとつは、これまでの習慣から、つい、おかずや味噌汁などを作りすぎてしまうことでしょう。

作ったものは「ちょっと多いかな」と思っても、残すのはもったいないし、と全部盛り付けて食卓に出す……。目の前にあれば、ついひと箸、もうひと箸と余分に食べてしまうことになります。

その結果、高齢者にとっては腹六分目どころか、腹十分目、腹十二分目になったりするのです。