認知症予防に効果的な食材は何か。医師の西崎知之さんは「古くから“健康にいい食べ物”として食卓に上っていた納豆は脳梗塞予防になったとしても、認知症予防やボケ防止には直接つながらない。また卵がどれだけ脳に有効かは疑問で、ブロッコリーを食べると認知症が予防できると考えるのも早計だ」という――。

※本稿は、保坂隆、西崎知之『おだやかに80歳に向かうボケない食生活』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

ボケ防止に納豆はどこまで有効か

「頭にいい」食材として納豆が見直されているようです。

納豆は日本発祥のソウルフードで、弥生時代にはすでにあったという説もあるそうです。骨の発育に欠かせないビタミンK2やマグネシウムなどが含まれていることもあって、古くから“健康にいい食べ物”として食卓に上ってきました。

その納豆が改めて注目されたのはナットウキナーゼという成分が含まれているからです。ナットウキナーゼは酵素の一種で、血をサラサラにする働きがあり(血栓溶解作用)、脳梗塞予防に有効といわれています。

暗い木の背景に対して設定された米の納豆は箸で持ち上げます
写真=iStock.com/masa44

脳からの連想で認知症にも効果があるといわれているのかもしれませんが、実際にどこまで認知症に有効なのでしょうか。

ナットウキナーゼは小腸で細かく分解されないと吸収されません。そして分解されたナットウキナーゼは血をサラサラにする作用がなくなります。

仮に、納豆を食べて分解されないナットウキナーゼが吸収されて脳梗塞予防になったとしても、残念ながら認知症予防には直接つながりません。ボケ防止も同様です。

ほかにも納豆にはレシチン(ホスファチジルコリン)というリン脂質の成分も含まれています。

そんなところから、「ホスファチジルコリンはアセチルコリンをつくる成分を含んでいて、記憶力をアップさせる」ともっともらしく説明されることもあるようです。