長生きするにはどんな食生活を心掛けるべきか。医師の西崎知之さんは「70歳以上の高齢者になると血液中のアルブミン量が低下している人の割合が急増し、正常な血管の柔軟性を維持するためには適度な動物性タンパク質の摂取が必要となる。しかし例えば牛肉ステーキにはタンパク質と糖を同時に加熱したときに発生する物質で、老化を促進する元凶となる終末糖化物質が多く含まれる。同じように魚を食べる場合も、『焼き魚よりも煮魚』、『煮魚よりも刺身』といった『コゲ』ができない料理法のほうが終末糖化産物を低く抑えることができる」という――。

※本稿は、保坂隆、西崎知之『おだやかに80歳に向かうボケない食生活』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

健康寿命を延ばすのにタンパク質は必要不可欠

年を取ると脂っこい肉よりも魚や野菜中心のあっさりしたものを好む傾向になってきますが、意外なことに、「長生きしている高齢者は肉を多めに食べている」という報告があります。

サバ味噌煮
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高齢者の方は健康寿命を延ばすためにしっかりタンパク質を摂る必要があるということのようです。

牛肉、豚肉、鶏肉などの肉には、人の体の中で作り出すことができない9つのアミノ酸(必須アミノ酸)を含め、人が健康に生きるために必要な20種類のアミノ酸からなるタンパク質(動物性タンパク質)が豊富に含まれています。

よく、大豆などの植物性タンパク質のほうが健康によいといわれますが、必須アミノ酸のバランスから考えると動物性タンパク質のほうが優れているといえます。

動物性タンパク質は、筋肉や血液をつくるだけでなく、骨の形成促進、ホルモンのバランスを整える効果、脳血管疾患の予防、感染症に対する免疫力を高める作用があります。

日本が長寿国になったのは、動物性タンパク質の摂取量が増えたことに起因するともいわれています。