牛肉ステーキに含まれる老化を促進する終末糖化産物

70歳以上の高齢者になると血液中のアルブミン量が低下(低アルブミン血症)している人の割合が急増します。

アルブミンは肝臓で産生され、血液中のタンパク質の約6割を占めています。血清アルブミン値は、栄養状態の評価において低栄養に陥っていないかどうかの指標となるものです。

したがって、高齢者の低アルブミン血症は低栄養状態で、もっと栄養を摂る(もっと肉を食べる?)必要があるということを示しています。

脳卒中の発症と肉の摂取との関連を示したイギリスの調査があります。

肉を普通に摂取するグループ、魚は食べるが肉は食べないグループ、完全菜食主義者のグループの3グループ間において、菜食主義者グループで有意に脳出血が多いという結果が報告されています。

この結果は、正常な血管の柔軟性を維持するためには適度な動物性タンパク質の摂取が必要であることを示唆しています。

クローズ アップ カットのフィレ ステーキ
写真=iStock.com/Rawpixel
※写真はイメージです

しかし、焼いた肉、たとえば牛肉ステーキには終末糖化産物(タンパク質と糖を同時に加熱したときにできる物質。強い毒性があり、老化を促進する元凶)が多く含まれており、一概に「肉の摂取は脳にいい」とは断言できません。

昨今の「ステーキを好きなだけ食べてOK」という考え方には、終末糖化物質のことは考慮されているのでしょうか。

「コゲ」ができない料理法が体にいい

前述のように終末糖化産物(Advanced Glycation End products=AGE)は、タンパク質と糖を同時に加熱したときに発生する物質で、老化を促進する元凶といわれています。

終末糖化物質が多く含まれる食べ物は、具体的にどんなものがあるのでしょうか。

たとえば、ホットケーキです。ホットケーキの土台は、卵と牛乳(タンパク質)を混ぜ合わせた液に小麦粉(糖質)を入れ、それをバターなどの脂を溶かしたフライパンで焼いてつくります。

そのときできるカリッとしたきつね色の焦げ目がなんともいえぬおいしさですが、じつはこのきつね色の焦げ目こそが終末糖化産物です。トーストの焦げ目も同じく終末糖化産物です。

トンカツ、チキンカツ、唐揚げ、ステーキ、焼き鳥もそうですが、要するにお肉を焼いたり、油で揚げたりしてできたおいしそうな焦げ目は終末糖化産物だと考えていいです。

その他、鮭や鮪の焼き物、揚げ物、ハンバーガー、フライドポテト、フランクフルトなどにも終末糖化産物が含まれています。

同じ食材でも料理の仕方で終末糖化産物を減らすことができます。

たとえば、魚を食べる場合、「刺身、煮魚、焼き魚」といった調理方法がありますが、「焼き魚よりも煮魚」、「煮魚よりも刺身」のほうが終末糖化産物を低く抑えることができます。

調理方法で、生→蒸す(茹でる)→煮る→炒める→焼く→揚げる、の順で終末糖化産物が増加していきます。要するに「コゲ」ができない料理法が体にいいということです。