物語コーポレーションが国内に213店展開するラーメン店「丸源ラーメン」が好調だ。同社における2023年のラーメン部門全体での売り上げは352億円(富士経済調べ)で、業界2位となっている。好調の理由はどこにあるのか。経済ジャーナリストの高井尚之さんがリポートする――。
「熟成醤油ラーメン 肉そば」
写真提供=物語コーポレーション
丸源ラーメンの看板メニュー「熟成醤油ラーメン 肉そば」

全国展開をしながら業績を拡大する「丸源ラーメン」

「ラーメン店の倒産」というニュースが一段と目立つようになった。以前から言われてきた「ラーメン一杯1000円の壁」もよく話題となる。

国民食のような存在だが、原材料費や光熱費、人件費の上昇で店の経営環境は厳しい。一方で話題の店も次々にオープンし、人気店には行列ができる。

そんな状況のなか、近年勢いを増すチェーン店が「丸源ラーメン」(運営会社:物語コーポレーション、本社:愛知県豊橋市)だ。2001年に1号店をオープンしてから23年、現在213店(2024年7月24日時点)を展開する。

ラーメン業界では珍しく、北海道から沖縄県まで国内41都道府県に店があるのも特徴だ。各地域で味の好みも分かれるので、競合他社も近年は広範囲に全国展開せずにエリア展開が多かった。そうした障壁を乗り越えているのだ。

どんな取り組みで業績を高めてきたのか。同社の事業責任者に聞いた。

ラーメン業界では2位の売り上げ

まずは業界での順位について。同ブランドを統括する池田頼信さん(物語コーポレーション 執行役員 丸源事業部 事業部長)に聞いた。

「調査データによって順位が異なります。『ラーメン専門店』では首位で、『ラーメン業界』では2位となっています。競合他社をどう捉えるかで順位が変わるようです」(池田さん)

たとえば富士経済が行う調査では、物語コーポレーションが展開するラーメン部門(「丸源ラーメン」「二代目丸源」「熟成醤油ラーメンきゃべとん」)は2位で、2023年の市場シェアは7.7%となっている。同年のラーメン部門全体の売上高は「352億円」(売り上げの大半は丸源ラーメン)だ。

競合には、業界首位の「日高屋」(運営会社:ハイデイ日高、本社:埼玉県さいたま市)や、「幸楽苑」(同:幸楽苑、本社:福島県郡山市)などがある。日高屋や幸楽苑に比べて店舗数が少ない丸源ラーメンは、大型店を郊外ロードサイドに出店し、メニューも多彩で1店舗あたりの売上高が大きい。

コロナ前2019年6月期は「219億円」(富士経済調べ)だったので、そこから約1.6倍になった。

「2024年6月期は、通期で既存店売上高が111.5%、客数が107.7%となりました。コロナ前2019年6月度と今年6月度の既存店売上高を比較すると約130%となっています」(同)

丸源事業部の池田頼信事業部長。
写真提供=物語コーポレーション
丸源事業部の池田頼信事業部長。