他のラーメンチェーンとは違う3つの特徴

取材を基に、丸源ラーメンの特徴をまとめると次の3点に集約できる。

(1)「肉そば」に代表される商品力と専門性
(2)ファミレスの佇まいに専門店の雰囲気
(3)多彩なサイドメニュー

(1)の商品特徴を池田さんに説明してもらった。

「店の主力商品が『熟成醤油ラーメン 肉そば』(大半の店舗では759円=税込み、以下同)で、多くの来店客の方に支持されています。この1年で2026万杯以上(※)ご注文いただきました。

それ以外の麺類を食べたい方には“醤油とんこつ”や“醤油”、“塩”や“味噌”ラーメンも用意しています。ご家族で来店されても、それぞれの嗜好にあった味が楽しめます」(同)

(※)2023年7月1日~2024年6月30日、全店におけるイートイン出数(物語コーポレーション調べ)

「肉そば」は、他の店にはない食べ方として「味変」がある。下記の写真1のようにメニューにも記されており、肉そばの生みの親である同社の堀誠さん(現:海外事業本部マーケティング担当)がイラストでも推奨している。

肉そばの特徴と味変(下の黒部分)を提案したメニュー。
写真提供=物語コーポレーション
(写真1)肉そばの特徴と味変(下の黒部分)を提案したメニュー。

(2)厨房の様子も見えるようになっており、「キッチンで働くスタッフにも(裏方でなく)輝いてもらいたい」と、池田さんは話す。

作業の様子がわかるので来店客も安心するようだ。一見すると、お店の作りはファミリーレストランのようだが、本格的な厨房には専門店の雰囲気も。こうした対応も人気を支える。

(3)を代表するメニューには「鉄板玉子チャーハン」(小サイズ385円、中サイズ495円)がある。鉄板の中央に円形のチャーハンが乗っており、運ばれた後、店舗スタッフが溶き卵をチャーハンの周囲にかけてくれるパフォーマンスつき。人気のサイドメニューには「丸源餃子」のほか、「おいしいからあげ」「枝豆」「フライドポテト」がある。

さらには、107円で楽しめる「ソフトクリーム」や、季節にあわせて期間限定で登場する「ミニパフェ」も用意。多彩な内容で来店客に訴求する。

自分で味を仕上げることができる「鉄板玉子チャーハン」。
写真提供=物語コーポレーション
人気のサイドメニュー「鉄板玉子チャーハン」。

麺の湯切りは機械、スープは手作業

「肉そば」が開発されて今年で20年。現在、「みんなで食べよう! 肉そばチャレンジ」というキャンペーンを開催中(2024年7月16日~9月1日)だ。期間中の出杯数に応じた割引率(100万食で10%off〜250万食で25%off)のアプリクーポンが配布される。

肉そばは、「丸源ラーメン」の売り上げが低迷した時期の起死回生策として誕生した。

「『世の中にないラーメンをつくりたい』という思いで、和食職人だった堀誠が考案しました。味に加えて、おいしさを感じていただく“食の5原色”(柚子こしょうおろしの「赤」、焼き海苔の「黒」、背脂や丼の「白」、麺やスープの「黄」、青ネギの「緑」)を丼に配置しています」(池田さん)

ロードサイドの大型店が多く、車や歩行者の視認性も高い。
筆者撮影
ロードサイドの大型店が多く、車や歩行者の視認性も高い。

2004年に期間限定の「たっぷり背脂の肉そば」として発売されると大好評となり、翌05年にグランドメニュー(定番商品)に昇格。2009年頃に看板商品に成長した。

作り方は最新自動マシンと手作業の組み合わせだ。自動茹で麺機や麺の湯切りは機械が担当し、スープや具材の調理は注文後に1杯ずつ手鍋で行い、仕上げる。

ラーメンの麺のゆでと乾燥はそれぞれ機械で行う。画像はゆで麺機。
写真提供=物語コーポレーション
ラーメンの麺の茹でと湯切りはそれぞれ機械で行う。画像は茹で麺機。