だから全国で人気になった

日本は各地にご当地ラーメンがあり、それぞれ味も違う。北海道でも札幌は味噌ラーメン、函館は塩ラーメンの文化で、博多と久留米(ともに福岡県)ではとんこつのつくり方も違う。なぜ、丸源ラーメンは北海道から沖縄県まで出店できたのだろうか。

「丸源ラーメンの認知が高まり、肉そばが全国区で受け入れていただいているのではないかと感じています。一般的に外食においては、『オープン直後は爆発的に利用され、そこから1年~1年半をかけて落ち着き、売り上げが落ち底をついたところで安定していく』ものです。

札幌ラーメン本場の『札幌菊水元町店』や博多ラーメン本場の『福岡福重店』、“うどん県”の『丸亀店』も安定期に入っていますが、売上前年比を超えており、じわじわと伸びています。」(池田さん)

「当社には『地域一番店主義』という戦略があり、『一度はじめた商売はやめない』という哲学もあります。そのためには、メニューも外観・内装も、お客さまのニーズや時代の変化に合わせて変えていく。過去には繁盛店になるまで約10年かかった例もあります」(同)

お店の外観。
筆者撮影
お店の外観。

最も売り上げが大きいのは8月

ご当地ラーメンの聖地でも、東京で人気の店や全国チェーンの味を楽しみたい人は多い。また、地域の人気店は小規模な店舗も多く、丸源ラーメンのような大型店で多彩なメニューをそろえたラーメン店は少ない。車社会の地方で、友人・知人や家族で利用するには便利、という一面もあるのだろう。

「ラーメンは冬のイメージがあると思いますが、実は丸源ラーメンの売り上げが最も大きいのは8月です。もともとファミリー客が多く、お子さんが夏休みに入ると家族で来店されます。夏は、自宅で火を使う料理をしたくないでしょうが、外食なら気にしなくてよい。空調も整っており、座席が広いのもご利用されやすいと思います」(池田さん)

利用客の声を聞くと、「ラーメン店なのに店内が清潔」という意見もあった。広い空間でファミレス的な使い方もされているようだ。ファミリー客を楽しませる訴求も行う。

たとえば小学生までが注文できる「お子さまラーメン」は209円という安さで、“えらべるおもちゃ”つき。高学年向けには大人サイズの「肉そばデビューセット」(759円)もあるが、これにもおもちゃがつく。