大豆にはビタミンEが多く含まれていて、抗酸化作用も

「頭にいい」といえば、短絡的にアセチルコリンと結びつけられることが多いですが、認知機能・記憶力はアセチルコリンだけで調節されているわけではありません。ですから、ただ単にアセチルコリンだけを増やしても認知機能・記憶力アップは期待できません。

また、納豆にはビタミンEも多く含まれています。ビタミンEには抗酸化作用と血流改善作用があります。納豆が認知症予防になるかどうかは別として、「身体にいい」ことは間違いありません。

そもそも納豆が「身体にいい」のは、発酵食品だからというよりも、原料の大豆が身体にいいからではないかと私は見ています。大豆にはビタミンEが多く含まれていて、抗酸化作用もあります。

その大豆は脂肪肝にも有効です。

かつて脂肪肝というのは、それほど心配することはないといわれていましたが、今日ではほうっておくと肝硬変から肝がんに移行していくことがわかっています。放置するわけにはいかないのです。

納豆にはその予防効果があるようです。

一時はその独特な匂いが苦手という人も少なくなかったようですが、今日ではそれも納豆の“個性”として、多くの人に愛されています。商品も「つゆだく」だ、「そぼろ」だといろいろあるみたいですね。

卵がどれだけ脳に有効かは疑問

水溶性のビタミン様栄養素である「コリン」は、人間のあらゆる細胞に存在していて、若さや健康を保つことに寄与しています。

コリンは、脳において重要な働きをしています。コリンはα7アセチルコリン受容体を活性化し、学習に関するシナプス伝達長期増強現象を引き起こします。

つまり、コリンは記銘力アップの手助けをするといっていいでしょう。

だからなのか、コリンが含まれている卵(鶏卵)にも注目が集まっています。

フランスのバゲット、ハム、ルッコラの上に日当たりの良い目玉焼き
写真=iStock.com/MmeEmil

しかし、果たして卵のコリンが脳に到達して、α7アセチルコリン受容体を活性化できるかどうかは不明です。

また、コリンは神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンの原料になります。「アセチルコリンは認知機能に重要な働きをしているので、アセチルコリンを増やせば認知症が改善する」と盛んに宣伝されています。

この宣伝はまんざら「ウソ」ではありませんが、脳の中にはたくさんの種類のアセチルコリン受容体が発現しています。すべてのアセチルコリン受容体が認知機能に関係しているわけではなく、認知機能に直接携わっているのはα7アセチルコリン受容体です。

アセチルコチンはすべてのアセチルコリン受容体を活性化します。つまり、認知機能だけを高めるわけではないのです。

α7アセチルコリン受容体以外のアセチルコリン受容体が活性化されることによって、逆に認知機能が悪くなったり、攻撃的で怒りっぽくなるといった副作用が現れる心配も出てきます。

さらに、卵に含まれるコリンが脳のアセチルコリンをどれだけ増やすかもわかっていません。

卵を食べること自体は悪くありませんが、脳にどこまで有効かは疑問です。

また、卵から脳に有効な成分を摂取しようとしたら、かなり大量の卵を食べる必要があります。毎日、大量の卵を食べ続けることは現実的には不可能でしょう。