人気テレビ番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の放送作家として、国民的アイドルグループに伴走してきた鈴木おさむ氏が、小説『もう明日が待っている』(文藝春秋)を上梓した。長くグループを続けてきたとき、メンバー同士の関係性はどう変化するのか。本書の第6章「とってもとっても僕のBEST FRIEND」より紹介する――。

5人が醸すのは「わちゃ」ではなく緊張感

時代は変わる。永遠はないことを歴史が証明している。

彼ら5人は依然、国民的アイドルであり国民的スターであることには違いなかったが、彼らの後輩の5人組のグループも着実に人気をつけて、日本に嵐を巻き起こしていた。

日本は東日本大震災から2年が過ぎ、時代は「和」を求めていた。

求められていたのは「安心」だった。

嵐を呼ぶ5人は、まさに時代に合っていた。その5人には常に「わちゃ」があった。

そして彼ら5人。

リーダー、タクヤ、ゴロウチャン、ツヨシ、シンゴはさらにソロの仕事も増えていた。国民的スターであることに間違いなかった。

メンバー自身がたまに自分たち5人をウルトラマンに例えることがあった。日頃は1人で戦っているけど時折集結するウルトラ兄弟のようだと。

彼ら5人が揃った時にあるのは「緊張感」だった。それはメンバーのほとんどが40代に入ることもあった。

国民に愛される後輩アイドルグループ

彼ら5人が揃っている姿を毎週見ることが出来るのは、月曜22時の番組だけだった。

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写真=iStock.com/Mirko Kuzmanovic
※写真はイメージです

かたや嵐を呼ぶ5人は、彼ら5人とは逆だった。常に友達のように仲良く、そこに緊張感はない。レギュラー番組も5人で一緒にやるものを増やした。その5人の「わちゃ」感は国民に愛されていった。

彼ら5人も国民的スターであることに間違いなかったが、若い世代を中心に人気が出ていった嵐を呼ぶ5人も、世代を広げて国民的人気アイドルと呼ばれていた。

それぞれがソロでも圧倒的な存在感を示す緊張感のある国民的人気グループと、その「わちゃ」が愛される新たな国民的人気グループ。

彼ら5人がその後輩をどう思っていたかは分からないが、当然、かなり意識していただろう。

僕やスタッフは猛烈に意識していた。だからこそ常に彼ら5人がおもしろく新しく見えるための番組作りをしていた。

だが、僕たちはその後輩たち以上にもう一つ強烈に意識しなければならないものがあった。

裏番組だ。