「ゲストの呪い」から解放された気がした

野口は思いを話し始めた。

人気の毒舌女性占い師が料理コーナーに来た時に、自身のキャラクターもあると思うが、メンバーの料理を食べて「おいしくない」と言ったことがあった。その時、リーダーはカメラが回っている前でそのことに怒った。普段だったら絶対に怒らない。自分のことではなく他のメンバーが作った料理を食べて「おいしくない」と否定された時にわざと怒った。

リーダーはやっぱり誰よりもメンバーのことを考えている人。そのリーダーがわざわざこの企画を「やりたい」と言ったのは、今、色々な状況で焦っている中で「5人で勝ちたい」と思ったからなのだろう、と。リーダーの、5人と番組を愛しているからこその、今やらなきゃいけない勝負なんだろう、と。

「それに応えなきゃいけないんじゃないかと思うんです。信じなきゃ」

野口の口から出た「信じる」という言葉が刺さった。僕は「信じる」ところにさえたどり着けてなかった。

彼ら5人が主役の番組であるのに、信じる作りをしていなかった。

野口の言葉は、ゲストに麻痺していた僕の脳を解放して、呪いを解いてくれた気がした。

「やってみよう」

ゲストではなく、彼ら5人がゲストに見える旅企画をやることになった。

彼らを信じて。

料理コーナーで5人にサプライズ告知

リーダーの提案からしばらく経っていたので、野口は、5人には言わずに、この企画をいきなり始動させたいと考えた。ただ、収録日に突然「今から5人で旅に行きましょう」と言うのは無理がある。

事前の準備を考えると、5人旅の企画をやることだけは前もって伝えたい。だから野口は考えた。

ある日の料理コーナーの終わりで、いきなりナレーターから5人に告げた。

「グループ結成25周年おめでとうございます。それを記念して、5人にプレゼントがあります」

デジタルシネマカメラ、オンセット
写真=iStock.com/Darwin Brandis
※写真はイメージです

普段は絶対そんなことをしない番組。

シンゴは驚き。

「ちょっと止めてー」

と言い出すが、観覧席にいるファンは期待する。

そこでいよいよ告げられる。

「5人だけで旅をしてもらいます」