国公立大学医学部の受験生は大学入学共通テストの正答率85%以上が“ノルマ”だ。私立医学部でも同じように極めて高い学力が求められる。30年以上医学部専門予備校に携わってきた七沢英文さんは「きちんとした勉強習慣と勉強法を継続すれば、社会人受験生であってもスタート地点ではほぼ0か、マイナスだった人が最終的には偏差値60台の医学部に合格できる」という――。
医学部専門予備校D組 校舎長の七沢英文さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
医学部専門予備校D組 校舎長の七沢英文さん

医学部受験界では3浪は「普通」

医学部は、偏差値30台でも受け入れてくれる一般的な大学とは違い、偏差値60~70台後半の大学しかない厳しい世界だ。都内の中高一貫校から現役で医学部合格をゲットする者もいるが、多くは浪人の苦労を味わうことになる。

医学部専門予備校が集中する東京・市ヶ谷。今春、この地に開校した「医学部専門予備校D組」(以下、D組)は他校で夢を叶えられなかった受験生にとって駆け込み寺のような存在だ。校舎長の七沢英文さんは現在の医学部受験をこう話す。

「医学部以外の学部の大学受験の場合、近年は、推薦やAO入試などによって現役合格するケースがかなり増えましたが、医学部受験は実力勝負。そのため2浪、3浪も珍しくありません。むしろ3浪は“普通”で、4浪からが“多浪”と言われているほどです。

もちろん、1~3浪はともかく、多浪する人には多浪するだけの理由があります。『勉強の仕方が極めて非効率』『自分に甘く、意思が弱くてサボってしまう』などです。他にも、『勉強は難しいし予習復習も面倒くさい』と目の前の現実から逃げて、そんな自分に嫌気がさして『自分はやっぱりダメ人間だ。医学部には向かない』と落ち込む浪人生も。

ただ、多浪生は伸びないとよく言われるが、全くそんなことはない。国公立でも私立でも医学部は難関です。わずか数点の差で合・不合が分かれます。合格できないのは、当たり前のことですが、その数点を埋めるために必要な学習量が足りなかったからか、効果的な学習法を知らなかったから。そのどちらかです」(七沢さん、以下同)

実際、七沢さんが過去に指導してきた生徒で、入塾時は偏差値が最低ラインだったが、偏差値60台の医学部合格を勝ち取ってきた人は少なくない。

最近増えているという社会人での医学部受験生の中から、2つの事例を紹介しよう。