社会人受験生は人生をかけて勝負をしている人が多い

――2人の共通点は、スタート地点ではほぼ0か、むしろマイナスだったが、最終的には偏差値60台の試験に合格できるほど大きく学力が伸びたことだ。

「結局、地頭の良し悪しやスタート時の知識量はあまり合否に関係ない。目標を定め、計画を立て、しっかりした習慣を確立し、効果的な学習を継続すれば、吉報はやってきます。医学部は全国に82校あり、総定員数は約9400人。その中に食い込むのは簡単ではありませんが、決して手が届かないわけでないのです」

コウジさんとケイコさんの共通点はもうひとつある。それは根底に、確固とした意志があったことだ。

「この2人に限らず、社会人受験生は人生をかけて勝負をしている人が多い。その年齢で、仕事をしながらでも勉強して受かりたいという思いがあり、人によっては“これで受からなかったら人生終わり”という覚悟で挑む人もいます。受かるためには何が課題で、どうクリアすればよいかも明確です。友達と遊びたいといった誘惑に惑わされない意思の強さも持っています。そこが、医師の親に言われて、半ば仕方なく勉強しているような現役生や、モチベーションを失ってずるずる多浪している人との決定的な差です。出発点からして、全然違うわけです」

もしそこまでの強い意志を保てないのなら、“環境づくり”から始めるのも一つの方法だという。次回は、効率的な勉強法とは何か、それを定着させるための“環境”について、七沢さんが解説してくれた。(構成=桜田容子)

3人の医師
写真=iStock.com/kazuma seki
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