チャットGPTなどの生成AIの登場はビジネスに大きな影響を与えつつある。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は「生成AIの登場によって、テック業界を牽引する企業は『GAFAM』から『GOMA』に変わりそうだ」という――。

※本稿は、田中道昭『生成AI時代 あなたの価値が上がる仕事』(青春新書インテリジェンス)の一部を再編集したものです。

2023年11月6日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたイベント「OpenAI DevDay」で講演するオープンAI CEOサム・アルトマン。
写真=AFP/時事通信フォト
2023年11月6日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたイベント「OpenAI DevDay」で講演するオープンAI CEOサム・アルトマン。

チャットGPTの驚くべき進化

生成AIが登場して1年。オープンAIのチャットGPTはいくつかの点で進展しています。

まず、23年2月に有料版のチャットGPTプラスを開始しています。無料版のチャットGPTでは、1回の質問に対する回答の最大応答文が1024単語(日本語で約2000文字)と制限されていますが、チャットGPTプラスでは約2万5000語と大幅に緩和されています。

しかも無料版がGPT3.5を使用しているのに対し、有料版では同年3月よりGPT4が採用され、より精度の高い回答が得られるようになっています。

有料版ではプラグインも利用できるようになっています。プラグインというのは、機能を拡張するための追加モジュールで、いわば便利な部品を追加して利用できるというものです。たとえばインターネット内の特定のページを元に回答してくれるプラグインや、食べログと連携し、レストランの検索と予約を助けてくれるプラグインといったものもあります。あるいは、指定したウェブサイトやドキュメントの情報を参照し、独自のAIチャットボットを作成してくれるプラグインといったものもあります。

「無人のユーザーサポート」も実現できる

さらに23年11月には、GPTsという新しい機能が追加されました。これはプログラミングなどの特別な知識なしで、文章で指定して自分だけの便利なGPT搭載ツールが作成できるという機能です。

たとえば、自社のマニュアルを読み込ませ、このマニュアルの内容に沿った回答を優先させて表示させる、といった独自のチャットボットを作ったとしたらどうでしょう。社員がこのチャットボットを活用することで、自社のノウハウや方法に則った仕事を進めることができるようになります。

また、これをユーザーサポートやカスタマーセンターなどの回答に応用したらどうでしょう。このチャットボットがうまく機能すれば、無人のユーザーサポートも実現できます。

実はオープンAIでは、これらのユーザーが作成したGPTsを公開・販売できる「GPTストア」を24年1月にオープンしています。前年の23年11月末に公開すると発表されていたものの、サム・アルトマンの解任・復帰劇が勃発したためか延期され、24年1月になってオープンしたのです。