インテルの業績から読み解く「半導体の二極化」

生成AI(人工知能)の登場をきっかけに、世界の半導体産業に大きな構造変化がみられる。これまで、スマホやPCの飽和感などから、汎用性の高い半導体の市況の低迷が続いてきた。その一方で、生成AI関連の精度の高い半導体に対する需要が急増している。そうした動きに伴って、世界の半導体産業に顕著な二極分化がみられるのである。

台湾積体電路製造(TSMC)など、最先端の製造技術を用いて“画像処理半導体(GPU=グラフィックス・プロセッシング・ユニット)”などの急速な需要増加に対応できる企業の業績は好調を維持しているのに対し、精度が相対的に低く汎用性の高い半導体の割合が多い企業の業績は低迷から抜け出せない。

個別半導体企業の事業ポートフォリオレベルでも、明確な二極分化が起きているようだ。その一例はインテルだろう。同社は昨年10~12月期、“生成AI”に対応したパソコン向けのCPU(中央演算装置)需要でインテルの最終損益は26億6900万ドル(1ドル=148円換算で約3950億円)の黒字だったものの、それ以外の分野の収益は停滞気味だ。

カリフォルニア州サンタクララにあるIntel本社のビルにロゴ
写真=iStock.com/JHVEPhoto
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AIの普及で対応パソコンの需要は盛り上がったが…

今後、世界全体で加速度的に生成AIの利用範囲は拡大する。より高性能なGPUやメモリーチップに対する需要は堅調を維持するだろう。そのため、より高度な半導体製造装置や部材需要は高まるはずだ。最先端分野での需要をいかに取り込むか、これまで以上に成長戦略を強化する必要がある。それができる企業と難しい企業の優劣の差は、一段と鮮明になるはずだ。

昨年10月~12月期、生成AIの急速な普及に引っ張られ、米国のインテルの営業損益は黒字に転換した。同社の主な事業領域は、“パソコン”、“データセンターおよびAI”、“エッジコンピューティング(ネットワーク末端のIoT機器などで一部のデータ処理を行いシステム負荷の軽減などを行う事業)”、“モービルアイ(自動運転技術開発関連)”、“インテル・ファウンドリ・サービス(受託製造)”の5つ。

10月~12月期はパソコン事業が収益を支えた。現在、産業分野からアカデミズム、安全保障など生成AIを使う範囲は次から次に広がっている。それをきっかけに、パソコン市場に変化が表れた。AIソフトを搭載したPC=AIパソコン出現である。それに伴い、PC向け半導体の需要が盛り上がった。