「GAFAM」から「GOMA」へ

現在のIT業界はGAFAMに代表されるビッグテックが牽引しています。それどころか、規模でいえばIT業界のみならず、産業界そのものをビッグテックが牽引しているといっても過言ではないでしょう。

そのビッグテックとして、GAFAM――グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト――がテック業界を支配し、世界を支配しているというのがビジネス界の見方でしたが、生成AIの登場でこのビッグテックにも変化が起こっているのです。

米国で長い歴史を持つ月刊誌の『アトランティック(The Atlantic)』が、23年10月に「AIの未来はGOMAゴーマだ(The Future of AI Is GOMA)」と題する記事を掲載したのです。

この記事によれば、これまで検索ならグーグル、ショッピングならアマゾンといった具合に、インターネット上で行うすべては、少数のテック企業、GAFAMに支配されてきました。最近の独禁法訴訟や内部告発などを考えても、これら少数の企業によって世界が支配されていると考えるのは難しいことではありません。

チャットGPT、コパイロット、バードのアプリが入ったスマホ
写真=iStock.com/Kenneth Cheung
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ビッグテックの構成が変わりつつある

ところが生成AIの登場によって、このバランスが崩れ、GAFAMからGOMAに変わろうとしている、というのです。

GOMAとは、グーグル(Google)、オープンAI(OpenAI)、マイクロソフト(Microsoft)、そしてアンソロピック(Anthropic)の4社です。

グーグルは生成AIのバードで、オープンAIはチャットGPT、マイクロソフトはやはりチャットGPTを駆使した「新しいビング」やコパイロットで、登場したばかりの生成AI市場の覇権を握ろうとしています。

アンソロピックというのは、米カリフォルニア州で21年に設立された人工知能を扱うスタートアップ企業ですが、設立メンバーはオープンAIにいた社員です。汎用はんよう人工知能(AGI)と大規模言語モデルの開発を専門としている企業ですが、設立翌年の22年には、グーグルから4億ドルの投資を受け、グーグルクラウドと正式に提携しています。