人口の増加は社会・経済の活性化をもたらし、ひいては不動産価格、マンション価格の上昇につながる。人口減少が続く日本でも自治体によっては増加するところもある。住宅ジャーナリストの山下和之さんは「そのトップは東京都中央区だが、2位以下には意外な都市も入っている。これからマイホームを買うならチェックしておいた方がいい」という――。
娘の手を引いて住宅街を歩く若い母親
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東京都は2040年まで人口増加が続く

国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、わが国の人口は2020年には1億2615万人だったものが、2025年には1億2326万人に減少、その後も減り続けて、2050年には1億0469万人に減ってしまう。やがて1億人を割ることになり、2020年を100とした指数は、2035年が92.5、2050年は83.0という試算だ。

人口の増減は、社会・経済の活動に直結するから、日本全体としては効果的な対策を立てないと停滞感が強まって、不動産価格や住宅価格の低下につながる可能性が高まる。

ただ、これはあくまでも日本全体の予測であり、エリアによって大きく異なる。全般的な傾向としては、大都市圏ほど人口の減少が少なく、地方圏ほど人口減少が著しくなる。

都道府県単位で、2020年に比べて2050年の人口がどうなるのかを予測すると、唯一東京都だけ増えるとみられている。2030年は2020年に対する指数が102.9で、2050年が102.5と予測されている。東京都の人口は2040年まで増え続けて、その後若干の減少に転じるが、それでも2020年比では、2050年も人口が増加するとみられているのだ。

首都圏周辺三県の人口減少は最小限にとどまる

大都市圏では人口の減少率が小さくなる。首都圏では、東京都の2020年比での2050年の指数が100を超えて、人口が増える見込みだが、周辺三県は増えないまでも、2020年比で2035年、2050年ともに90%台を維持すると予測されている。2020年比での2050年の指数は埼玉県が90.3、千葉県が90.5、神奈川県が92.3となっている。首都圏の周辺三県の人口減少は1割以下と、最小限にとどまる見込みだ。

全国平均では2050年の指数は83.0だから、東京都をはじめとする首都圏への人口の集中が一段と進むことは間違いなく、地方圏では極端に指数が低下する県がある。最も指数が低下すると予測されているのは秋田県の58.4で、2020年の人口の6割以下まで減少してしまうとみられている。指数が60を切っているのは秋田県だけだが、そのほか東北地方、四国地方などで指数が60台の県が少なくない。

これは、自然減だけではなく、地方から首都圏への人口移動という社会減による部分も大きい。2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、密になりがちな大都市圏から、より安全に暮らせる地方への移住が増えたが、2023年には新型コロナウイルス感染症が2類から5類に移行、再び首都圏、なかでも東京都への人口移動が増えており、今後もその傾向が強まりこそすれ、弱まることはないだろうとみられている。