家は買ったほうがいいのか。リクルート住まい研究所所長や大東建託賃貸未来研究所長として、長年「住みここちランキング」に携わってきた麗澤大学教授の宗健さんは「家は買えるなら買ったほうがいい。首都圏の新築マンションの価格は高いが、中古マンションや中古戸建ても十分選択肢になる時代になっている」という――。
リビングルームでトランプを楽しむ家族
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買えるのなら買った方がいい

新築マンション価格が史上最高値となったことが話題となっている。不動産経済研究所が2024年2月28日に発表した「全国 新築分譲マンション市場動向 2023年」によれば、2023年の全国の新築マンション平均価格は5911万円と前年より15.4%上昇し、首都圏の1都3県では前年比28.8%上昇の8101万円、東京23区に至っては前年比39.4%上昇の1億1483万円と1億を超えてしまった。

平均価格が1億超えとなれば、もう新築マンションは普通の人にはとても買えない。こんな状況でも、やっぱり家は買うべきなのだろうか。結論を先にいえば、新築マンションが史上最高値でも家は、買えるのなら買った方がいいだろう。

買った方がいい理由は「みんな買っているから」

「持ち家 vs 賃貸」の記事は、住宅情報サイトだけでなく、さまざまなウェブサイトでPVが稼げる鉄板記事のようだが、その多くは、「持ち家か賃貸かは、その人のライフスタイルによる」という曖昧な結論で締めくくられていることが多い。

しかし、世の中の実態を見ると2018年の住宅・土地統計調査(以下「住調」という)によれば、持ち家率は全年齢対象で61%と持ち家派が過半数を占める。

ただし、持ち家率は年齢によって大きく違い、20歳代では6.4%と低いが、30歳代で35.7%と一気に上がり、40歳代で57.6%と過半数に達し、50歳代で67.6%と2/3を超え、60歳以上では79.8%となっている。

昔に比べれば、未婚率の上昇によって持ち家率は低下しているが、それでも数でいえば持ち家派が賃貸派を圧倒しているのだ。

これは、持ち家か賃貸かは個々人のライフスタイルによるとしても、結局、多くの人が持ち家を支持しているということで、経済学ではこうした個々人の行動の結果を「足による投票」という。

身もふたもない言い方になるが、家を買うべき理由の第一は「みんなが買っているから」なのだ。