東京都の人口は2040年まで増え続け、空き家問題は起きない
そうはいっても、全国で800万戸にも上る空き家があって大きな社会問題になっているのだから、いずれ家賃が暴落する可能性もあるのでは、という意見もあるだろう。
詳細は、筆者の2017年の論文「住宅・土地統計調査空き家率の検証」を参照してほしいが、800万戸の空き家の根拠は住調であり、住調の空き家判断は調査員の目視に頼っているため誤差が非常に大きい可能性が高い。
実際、国土交通省や自治体の空き家実態調査では住調の半分以下の空き家率が報告されており、REITやサブリース会社の賃貸住宅入居率も90%以上の数値となっている。例えば世田谷区は住調では50万戸の住宅のうち5万戸以上の空き家があることになっているが、世田谷区の実態調査では空き家等と推定した建物はわずか966棟となっている。世田谷区を歩けばすぐにわかるが世田谷区の空き家率が10%以上であるわけがない。
さらに、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(令和5年(2023)推計)」によれば、日本全国の人口は2020年の1億2615万人が2050年には1億0469万人に減少するが、東京都の人口は2020年の1405万人が2050年には1440万人に増加する。1都3県の合計では人口は減少するが減少率は4.5%程度と比較的低い。
こうした結果を見れば、少なくとも首都圏で家賃が大きく下落する可能性は低いだろう。しかも、世界的なインフレにある現状を考えれば、家を買っておいたほうが、老後の安心感は高まるだろう。
やはり、持ち家が正解なのだ。