住宅の品質が上がり、中古で十分な時代が来た

とはいえ、首都圏で平均価格が1億円を超えた新築マンションは、普通の人には買えない。

しかし、心配することはない。中古マンションや中古戸建ても十分に選択肢になる時代になっている。

最近ではリノベーションマンションなども多く販売されており、日本人の新築信仰がやっと薄れ、価値観が変化してきた主張する人もいるようだが、実際は違う。

戦後の日本はずっと住宅不足で、質より量を優先せざるを得なかった。建物の品質に大きく影響する耐震基準を見ると1950年に建築基準法が制定され最新基準は1971年、1981年、2000年に大きな改正が行われている。

これは逆に言えば、耐震基準が改正されるたびに、それ以前の住宅の価値が大きく下がることを意味している。そのため、2000年までは20年で戸建て住宅は無価値になるといわれてきた。

実際1990年ころの築20年とは1970年築の住宅で、新築と築20年の差は非常に大きかった。それが2024年で考えると築20年は2004年築で最新の耐震基準を満たしており、間取りや外観、設備等もそこまで見劣りするものではない。

つまり、日本の住宅の品質は戦後70年以上を経て、やっと新築でなくても十分な時代が来た、ということなのだ。

戸建て住宅が立ち並ぶ道
写真=iStock.com/inomasa
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戸建てなら1000万円くらい予算を上乗せできる

ただし、マンションの場合はドアやサッシは共用部であるため簡単には交換できないことには注意が必要だ。特にサッシの性能向上は著しく築20年ともなればできれば交換したいところだが、これは政策的な対応が必要な問題であり、今後の進展を望みたい。

ちなみに、マンションと戸建てを維持費を含めて比較すると、マンションには駐車場と管理費が別に必要で、それらが必要無い戸建ては、大まかにいって1000万円くらい予算を上乗せしても、結局毎月の負担額はあまり変わらないこともあることは付記しておきたい。