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経営で頂点を極めた人の言葉や行動には重みがある。特に目標に向かって積み重ねたさまざまな経験から導き出された思考法には瞠目することも多い。日本航空名誉会長の稲盛和夫氏は普遍的な大義を組織に浸透させ、一つの方向に向かわせることで、組織に目標をやり抜く力が生まれるという。

京セラ名誉会長 稲盛和夫氏●1959年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。84年、第二電電企画(現KDDI)を設立。2010年、日本航空の会長に就任、再建に成功する。

「経営者は、その会社をどうしていくのか、10年先、20年先までを視野に入れた明確なビジョンを示さなければなりません。どんなに優秀な人物を集めることができたとしても、みなが一つの方針に向かってベクトルを揃えることができなければ、成功は収められないのです。

各部門のリーダーも同様です。みずからがリーダーとなって、新しいプロジェクトを始めることもあるでしょう。

まず最初にすべきことは、部下やチームメンバーが、『課長のいうとおりだ。私たちも協力していこう』と思ってくれるように『大義』を語り全員のベクトルを揃えることです」(プレジデント誌2008/6.16)

さらに、常に正しい判断をするために必要な人間性を磨くには目標を決めて、息つくひまもないぐらいに一生懸命、仕事に打ち込むことだという。

「私自身、修行のための修行、勉強のための勉強をしたというわけではなく、むしろ全力で仕事に打ち込むことで自分の心を磨く機会を自然に得ることができたのだと思います」「勉強も仕事も少しだけ努力して、何か壁にぶつかるとすぐにあきらめてしまう人がいますが、それでは何も得られません。必死の努力を続けること。見ている人が可哀そうだと思うほど努力を重ねること。その結果、初めて成功することができるのです」(2012/8.13)

(グロービス経営大学院・あすか会議=取材協力 若杉憲司、宇佐見利明=撮影)
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