仕事の成果に通じる「お金」と「喜び」以上のもの
チームを率いる立場になったり、先頭に立って物事を動かさねばならなかったりした経験をお持ちの方は多くいらっしゃることだろう。全体を動かすモチベーションには、インセンティブなど給与を与える方法も多くみられるが、行動経済学者のダン・エアリー氏は、「お金」や「仕事に感じる喜び」以上のものがあるという。今回はTEDのプレゼン「仕事のやりがいとは何か?」から、成果をあげるための仕事の提示方法を私たちの日常に役立ててみたい。
たとえば、2週間にわたってプロジェクトのプレゼン資料を作った締切り直前、そのプロジェクトが取りやめになったと聞いたら、どう感じるだろうか。怒りを通り越して、“徒労感”を味わい、急にやる気が奪われてしまうかもしれない。
エアリー氏は、こうした“徒労感”と仕事の成果を、次の2パターンにわけて実験をしている。
A. 「意義のある状況」
ロボット型レゴを3ドルで組み立ててもらい、そこから2.7ドル、2.4ドルと下げ、やる意義を失ったところでやめる。レゴは組み立てたら机の下に並べ、「終わったら次の人に渡すために壊す」と伝える。
B. 「徒労の状況」
ロボット型レゴを3ドルで組み立ててもらい、終わったらすぐに目の前で壊し、さらに3セントずつ支払いを下げながら組み立ててもらい、やる意義をなくした時点でやめる。
「意義のある状況」では11体をつくったのに対し、「徒労の状況」では7体に終わったそうだ。レゴをつくり上げた達成感の“喜び”を、目の前で壊して奪いさることで、モチベーションが大きく下がった例といえるだろう。
先のプロジェクトの書類をつくり続けたメンバーも、目の前でレゴを壊されたときと同様の気持ちを味わったわけだ。ではプロジェクトがなくなっても、書類作りを“徒労”に終わらせないためには、どうすればよかったのだろうか……。