仕事への“意義”がモチベーションの源に

ある企業で、200名のエンジニアが関わる大規模プロジェクトが白紙に戻された。関係者は今までの苦労が水の泡と消えて落ち込んだが、「どうしたら“水の泡”などと感じずにすんだか」の意見を聞くと、「2年の過程を会社全体にプレゼンする機会をもらいたかった」「内容を他部署でも使うなど、一考する機会がほしかった」「試作品をつくって可能性をみたかった」などが聞かれたという。実際にプロジェクトにつなげる以上に、努力を認めてもらい、仕事の“意義”を感じることが次へのモチベーションにつながるというわけだ。

先の没になったプロジェクトの書類を作成したメンバーも、何かしら応用する場を与えてもらうなどの配慮があれば徒労感に終わらず、その後の仕事への意欲につながりやすかっただろう。

エイカー氏は、“徒労感を味わってもらう”こんな実験も提示している。

タスク:ランダムな文字が並んだ紙を1枚渡し 同じ文字が並んでいるものを探してもらう。

条件:1枚目をやった所で 2枚目を少ない金額に、次はさらに少ない金額でやるか尋ねる。

3つの状況:

1)自分の名前を紙に書いてもらい、同じ文字が並んだペアを全て見つけたら紙を提出してもらう。実験者は上から下までさっと確認し「はいどうも」と言って横にある紙束の上に載せる。

2)自分の名前を紙に書いてもらわず、実験者は紙を受け取ったら、確認せずに紙束の上に載せる。つまり受け取って横に置くだけ。

3)実験者は紙を受け取り、確認せずにシュレッダーにかける。

1)の最低金額は15セント、3)では30セント。実際のところ、「シュレッダーの状況」では書類を確認をされないため適当に提出すれば金銭は稼げたはずが、実際には1)の半分のモチベーションにしかならなった。そして2)の一瞥もくれない状況も、シュレッダーに近い結果になったという。

人の成果を目にもいれないのは、目の前で努力をシュレッダーにかけるような行為であり、これでモチベーションを下げるのは驚くほどたやすいだろう。逆に「たださっと眺めて一声かけるだけ」でも劇的にモチベーションをあげて成果を得ることができるわけだ。

では、モチベーションをあげるために、おもしろい工夫をした例をみていこう。