慰謝料は男性が女性に必ず支払うもの?

「バツイチ」「バツニ」という言葉が当たり前になり、今や日本の夫婦の「3組に1組」が別れを選ぶ時代になっている。「うちは夫婦円満だから関係ない」という読者も多いだろうが、男女の関係に絶対はない。

「昔も今も、浮気や不倫といった『不貞行為』が離婚原因の上位を占めています。以前は、社内や取引先、ご近所同士などがその舞台でしたが、近年はSNSでの出会いから不倫に発展するケースも増えています」と話すのは、「離婚110番」を主宰し、2万5000組を超える夫婦の離婚相談に乗ってきた澁川良幸氏だ。

「モラル・ハラスメント(モラハラ)やドメスティック・バイオレンス(DV)に起因する離婚も近年の傾向です。モラハラやDVは、加害者側に加害意識が希薄で、意図せず相手に肉体的・精神的苦痛を与えていることも多いので要注意です」と話す澁川氏。ある日、仕事から帰ったら妻子が家財道具と一緒に消えていたという事例も珍しくないというから、離婚リスクは決して他人事ではない。

相手から離婚を突きつけられるにしろ、自ら離婚を決意するにしろ、避けては通れないのがお金の問題だ。

「離婚はお互いの新しい人生をかけた『「仁義なき戦い』、正直者がバカを見るのが現実です。常識や相場を知らずに相手の言いなりになって、先立つものを目減りさせてしまったら、新しい人生の初めからつまずくことになります」(澁川氏)

離婚にまつわるお金は、大きく分けて以下の6つ。(1)財産分与、(2)慰謝料、(3)養育費、(4)婚姻費用。場合によっては、(5)弁護士費用、(6)興信所の調査費用も必要となる。それぞれの詳細は上段の解説にゆずり、ここではポイントを確認しておきたい。

まず、離婚時に必ず行うのが財産分与である。婚姻期間中に築いた「共有財産」を折半するのが原則だ。

「法律上、夫婦は『ひとつの財布』と見なされるので、結婚してからずっと妻が専業主婦(無収入)であっても半分ずつとなります」(澁川氏)

親の遺産や結婚前の預貯金などは「固有財産」なので、財産分与の対象にはならないので要注意だ。